芸能

水谷豊の足跡 『熱中時代』で不動の主演俳優、『相棒』で国民的スターに

水谷豊

ドラマ『あんちゃん』で主演を務め、高視聴率を獲得した水谷豊(右)。伊藤蘭とは共演をきっかけに、6年半の交際を経て1989年に結婚(写真/女性セブン写真部)

 ドラマや映画、CMなどテレビで見ない日はない、水谷豊(69才)。俳優デビュー後、『傷だらけの天使』(1974年)に出演して知名度をあげた。まもなくテレビドラマで主演の座をつかむが、俳優のトップランナーになるまでの道のりは、決して平たんではなかった。俳優歴50年を超える彼の素顔をよく知る人たちの証言から追った。【全3回の2回目】

 * * *

熱血教師役で新境地を切り開く

 1976年には映画に進出。長谷川和彦監督が手がけた『青春の殺人者』で主演を果たす。実際に起きた親殺しの事件を題材にしたこの映画でも、水谷は屈折した若者を演じた。

 そんな彼に、これまでとはまったく違う役が巡ってきたのが1978年。出世作の1つといえる『熱中時代』の小学校教師・北野広大役だ。

 北海道から出てきた新米教師“北野先生”は純朴で底抜けに明るく、いつも子供たちの味方だった。この作品が水谷を語る上で欠かせないのは、初めから、水谷ありきで持ち上がったドラマだったからだ。社会学者の太田省一さんが語る。

「企画・演出を担当した日本テレビ(当時)の田中知己さんが、同作のDVD−BOXの特典映像で『ブレークしたものの、印象的な二番手というイメージがついてしまったため、水谷さんは主役しかやらないと心に決めているようだったので、その意を受けて、“水谷豊ショー”をやろう!とした』と語っていました。そんな中から水谷さんと小学生を中心にしたドラマの企画が生まれたのです」

『熱中時代』は大ヒット。水谷は主演俳優として不動の地位を手にいれる。

 この北野先生役にも「のちの杉下右京役に通じるものがある」と太田さんは分析する。

「それまで演じてきたアウトロー的なイメージの役とは違い、この作品で水谷さんの新たな側面を見せることができました。

 北野先生は、子供たちのためなら校長などの上司に当たる人たちにも歯向かっていく熱血教師。役柄は違いますが、そこにはどんな巨大組織や強い権力に屈せず、忖度することもなく自分の正義を貫く、『相棒』の杉下右京と重なるものがあります。

『熱中時代』という作品に出演したことで、その後の水谷さんの演じる役柄を通して“正義とは何か”というテーマが一貫して描かれるきっかけになったように思います」(太田さん)

2時間ドラマでも視聴率が取れる俳優に

『熱中時代』は全話平均視聴率27%と高視聴率を獲得。以降、水谷は視聴率の取れるテレビスターとして人気を博すことになる。

 その後は活動の幅を広げ、1979年制作の『熱中時代・刑事編』(日本テレビ系)では主演を務めるだけでなく、主題歌『カリフォルニア・コネクション』も歌い、65万枚を超えるヒットを記録した。

 元日本テレビプロデューサーの岡田晋吉さんは「この頃から、テレビ界では『水谷豊を出せば当たる』といわれるようになりました」と振り返る。

 それ以降、水谷は1982年に『あんちゃん』、1983年に『事件記者 チャボ!』、1987年からは『浅見光彦ミステリー』(いずれも日本テレビ系)などのドラマに主演。いずれも高視聴率を獲得していく。

関連キーワード

関連記事

トピックス

(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン