当たり前の幸せに気づかせてくれる、世界共通の「愛」の物語

 ベンとタングは、行く先々でさまざまな人々と出会い、少しずつ自分たちに欠けていたものを手に入れていく。ベンが驚いたり、笑ったり、怒ったりするのを見聞きすると、タングはその感情を人工知能で学習し、成長していくのだ。

本作のキーパーソン・カトウ(小林唯)は、ベンとタングをある場所に導く

本作のキーパーソン・カトウ(小林唯)は、ベンとタングをある場所に導く

 物語のテーマの1つは「愛」。

「描きたかったのは、ごく当たり前の日常に隠されたささやかな幸せや、小さな心の痛みなど、誰もが共感できる等身大の感情です。タングは、見た目はかわいらしいですが、“ブラックボックス”としての側面も持っています。

 単なる“かわいいロボットのキャラクター”ではなく、あくまでも、なんらかの無限の可能性を秘めた存在として、謎を残しているのです。ベンと出会って旅をすることで、タングの“心”がどんなふうに成長していくのかも、この物語の大切なメッセージの1つ。だからこそ、ベンを始めとする人の心の動きの一つひとつが、丁寧に描かれています」(長田さん)

ヒューストンで出合うリジー博士(写真左、相原萌)は、ロボットを愛する心優しい人物。“人見知り”するタングのかわいさにキュン

ヒューストンで出合うリジー博士(写真左、相原萌)は、ロボットを愛する心優しい人物。“人見知り”するタングのかわいさにキュン

 観る人すべてが共感できる本作は、随所で笑いと拍手を巻き起こしつつも、涙を誘う場面も非常に多い。圧倒的なクオリティーの歌やダンスに心を震わされるのはもちろんのこと、緻密に描かれたさまざまな「愛」が、何度も強く胸を打つ。ハンカチ1枚では足りないかもしれないので、観劇の際にはご注意を。

 幕が下りたとき、きっとあなたも、大切な誰かを抱きしめたくなるだろう。ベンとタングが最後にどんな“答え”を見つけるのか、ぜひ劇場で見守ってほしい。

タングの壊れたパーツを直すため、世界中をめぐる旅に出発!

タングの壊れたパーツを直すため、世界中をめぐる旅に出発!

劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』
東京公演 会場:自由劇場 公演期間:2022年1月23日(日)まで上演中
京都公演 会場:京都劇場 公演期間:2022年2月23日(水・祝)~4月16日(土)まで上演
全国公演 2022年5月14日(土)開幕

※出演俳優は2021年12月22日のもの。上演日によって、出演俳優は異なります。

カリフォルニアでは、陽気で変わり者の研究者・コーリー(写真中央、カイサー・タティク)がアンドロイドたちとお出迎え。“人間離れ”したダンスは圧巻

カリフォルニアでは、陽気で変わり者の研究者・コーリー(写真中央、カイサー・タティク)がアンドロイドたちとお出迎え。“人間離れ”したダンスは圧巻

撮影/田中智久 取材・文/陣内桂香

劇団四季代表取締役の吉田知誉樹さん(写真左)と、本作の演出を手がけた小山ゆうなさん(写真中央)、台本・作詞を手がけた長田育恵さん(写真右)

劇団四季代表取締役の吉田知誉樹さん(写真左)と、本作の演出を手がけた小山ゆうなさん(写真中央)、台本・作詞を手がけた長田育恵さん(写真右)

関連記事

トピックス

真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン