国内

2022年政治予測「7月参院選で強い野党が出てこないと自民党が緩みまくる」

2022年の政治に求められるのは?(写真/共同通信社)

2022年の政治に求められるのは?(写真/共同通信社)

「聞く力」を標榜する岸田政権の誕生で、世界に冠たるニッポン官僚は復活し、国の危機を乗り越えることができるのか。元官僚で政治とも縁深い寺脇研(元文科官僚)、原英史(元経産官僚)、豊田真由子(元厚労官僚、元衆院議員)の3氏が激論を交わした。【前後編の後編】

原:7月には参院選が控えるが、ともかく強い野党が出てきてほしい。そうでないと自民党が緩みまくるでしょう。“多少失敗しても、どうせ野党に投票する奴はいない”ということになると、緊張感を持った政権運営をしてもらえなくなる。少なくとも政治に緊張感を与える野党の存在が必要。日本維新の会にもその可能性があるし、代表が交代した立憲民主党もこれまでの政治行動を反省して運営方針を改めるなら変わってくるんじゃないか。

豊田:選挙の情勢は直前にならないとわからないが、政権交代が起こるような状況ではないと思っています。

寺脇:どの党が勝つか以前に、この時代、もう先送りできない大きな問題がある。豊田さんが触れたように(前編参照)、子どもや女性の自殺が増えている。根底にあるのは貧困・格差。

 先の総選挙では各党は親にカネを配る話ばかりだったが、参院選は貧困・格差を放っておくのか、そうでないのかの民意を問う選挙にすべきと思う。親にカネを配ってもそれが子どものために使われるとは限らない。むしろ政治がすぐやれるのは、たとえば子どもの医療費を全額無料にするとか、給食を無料にして、希望する子どもには1日3食でも食べられるようにするとか。

 私は大人には自己責任があると思うが、15歳以下の子どもには自己責任を問うことはできないのであって、全員セーフティネットで救う必要がある。自民党でも、共産党が主張してもいいが、主張する政党がなければ有権者は票を入れようがない。

原:私もそう思う。「強い野党」が必要というのは、野党が弱いままだとそうした議論ができる政治状況が生まれないという意味です。

「途上国」転落か

原:2022年はオミクロン株の緊急対応は大前提だが、その上で未来に向けた政策にすぐ取り組まなければならない。日本経済は30年停滞していると言われているが、世界がDX(デジタル化)やGX(脱炭素)で新しい産業革命に踏み出している中で、ここでさらに遅れると100年ぐらい差をつけられ、日本は完全に途上国に転落していく。この1年間は非常に大事な時期だと思っている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン