放っておくと危ない「重病のサイン」【1】

放っておくと危ない「重病のサイン」【1】

「腕がマネキンみたい」

 秋津医師は来院した患者の「糖尿病」を、ある小さな不調から見つけたことがあるという。

「基本的には元気なのに、喉の渇きが続くという30代男性でした。数値を調べると、過去1~2か月の血糖値の平均を示すHbA1cが10%もあり、糖尿病と診断しました。糖尿病で喉の渇きが続くのは、血中に増えた糖が水分を吸収してしまうことに加え、余分な糖を排泄するために必要以上に尿が出て、脱水状態になるためです」

 また、秋津医師は片方のまぶたが下がる症状も要注意、と指摘する。

「急に片方のまぶたが下がって物が二重に見えるなどの症状が出たら、くも膜下出血が疑われます。脳の表面(くも膜)の下にできた動脈瘤が、まぶたを動かす神経や脳の視神経、動眼神経を圧迫していると考えられるからです。片方にだけ異常が現われるのが特徴です」

 2013年に脳梗塞を患った元テレビ東京アナウンサーの大橋未歩さん(43)は、自宅で突然左手のしびれに襲われた。

「異変に気が付いたのは夜11時頃。洗顔時、急に左手の感覚がなくなったので右手で触れると、まるでマネキンの腕のようでした。不思議に思いつつも顔を洗い終えると、感覚のない左手で持っていたクリームの容器を落としてしまった。

 床を汚してしまったので、それを拭おうと屈んだ瞬間、ガクンとその場に倒れました。起き上がろうとしても全く身体に力が入らず、そこからの記憶は断片的です」

 家族が駆けつけると、呂律が回らず、左半身が麻痺状態だったという。しかし、15分ほどで症状は治まり、すっかり元通りに。それでも2日後、念のため病院を受診すると、MRI検査で4か所に脳梗塞が見つかった。

「麻痺が一度治まったところで放置せず、病院で検査して良かったと思います」と振り返る。

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