賭博問題で解雇された元大関の琴光喜(時事通信フォト)

賭博問題で解雇された元大関の琴光喜も日大OB(時事通信フォト)

日大OB親方の部屋の日大OB力士に違法賭博関与の疑惑

 ただ、日大OBの力士は十両以上の関取にはすぐ上がれるものの、幕内上位にはなかなか通用しないという現実もあった。横綱になったのは1970年代に活躍した輪島だけで、大関も2010年に野球賭博問題で解雇された琴光喜のみである。

「学生横綱になった日大OBの力士でも、プロの世界では横綱や大関にはなれない。おまけに同窓の力士が複数の部屋にまたがってたくさんいるから、大学の先輩後輩、同級生同士の取組では全力でぶつかりづらいといった状況にも陥った。そのうち“下積みをしない学生出身者は着物ひとつたためない”と批判されるようになった。さらには他の相撲強豪大学からの入門者が増え、田中監督もいつしか興味は大学の経営のほうに向いていった」(前出の関係者)

 日大OBと入れ替わるように東洋大、日体大、近畿大、中央大などの出身者が活躍したことに加え、埼玉栄高や鳥取城北高、明徳義塾高などの強豪高校からの入門者も目立つようになり、日大の存在感は相対的に低下しつつあった。それでもまだ、協会執行部では一定の影響力があったとみられている。

「田中被告が日大の監督だった時代に、当時の理事長だった出羽海親方(元横綱・佐田の山)の部屋に日大相撲部から久島海や舞の海、出羽の花などを入門させて恩を売った。その結果もあってか日大OBである出来山親方(元関脇・出羽の花)が2014年には協会の理事となり、その後継として2016年から同じくOBの境川親方が理事となっている。

 今年2月の理事選ではそれが日大OBの木瀬親方にバトンタッチされるいう話もあった。ただ、昨年12月に木瀬部屋所属の関取である英乃海と紫雷(芝から改名)が裏カジノに出入りしていたことが発覚。英乃海と紫雷も日大OBだが、2人とも初場所を休場に追い込まれた。この不祥事で、木瀬親方の理事選出馬が厳しくなった」(相撲担当記者)

 少しずつ綻びが出ていた日大OBグループだが、田中被告の失脚により、新たな局面を迎えることになりそうだ。

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