「別に私は暴露本を書いたわけではなく、自分が経験したことをフラットに書いただけなんです。 確かに田村元大臣は理解力が高い上に勉強もされていて、先日も、第6波が来るとか来ないとか、そんな議論はどうでもいい、来ると思ってやるのが政治なんだと、田代先生と同じことをおっしゃっていた。
つまり最悪の事態を想定してやるのが感染症対策や政治であって、それを僕は苦しいけどやる、役所や都庁の体質も自分が変えてみせると言い切った田村元大臣の言葉は、感動的ですらありました」
一方の岡部氏や尾身氏に関しても事実は書くものの、
「日本の場合はコロナ対策に限らず、やって失敗するよりやらずに失敗した方が、復活の目が高いという面が組織にあると思うんです。たとえ後手後手でも問題が起こってから対処する方が自分自身のリスクヘッジにはなりますし、SNSなどの反応が怖くて中身のないことしか表では言えなくなる傾向がある。要は公と私、どちらを優先するかなんです。
米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長なんて、トランプ元大統領と喧嘩したでしょ。ああいう本音を尾身先生や岡部先生が言える国にしてあげようよ、そうじゃないと結局痛い目にあって損をするのは国民なんだからって、私は思うんです」
パンデミックは現代社会の宿命
次世代のためにもその理解度を極力高め、正当な政策へと導いてくれる国民性を醸成したかったと岡田氏は言い、コロナとは〈危機管理〉の問題であり、社会問題なのだと、改めて気づかされる。
「そもそもパンデミックは大量高速輸送が普通になったグローバル時代の宿命であって、いつまた次の爆発が来てもおかしくはない。
本書の校了直前に現れたオミクロン株にしろ、今回のコロナは変異の内容も驚異的で、途上国も含めた地球規模で流行を食い止めない限り変異株は増え続ける。ワクチン政策だけでは限界がある以上、経口治療薬や、少ない医療者で大勢を診る大規模施設や発熱外来の確保を急ぐなど、数字的に落ちついている時にこそ、やるべきことがあるんです」