もうひとつ、和さんの日記は、「まだまだ夫に愛されたい若い女の子」と「娘を思う母」という2つの側面があって新鮮でした。旦那さんが飲みに行ってしまって連絡がつかなかったことを怒るんだけど、喧嘩のあとにはちゃんと仲直りして「大好き」になったり。
家族でありながら、まだ恋人同士のような描写も多くて、彼女の中に「ピュアな乙女」と「強い母」が同居しているのを微笑ましく読ませていただきました。もしかしたら、これこそが、闘病記でありながら、読後に重い気持ちにならなかった理由なのかもしれません。和さんという、等身大のひとりの女の子を通して、短いけれども確かに幸せだった人生があったのだと、どこか温かい気持ちになるのです。
◆眞鍋かをり(まなべ・かをり)
1980年5月31日生まれ。愛媛県西条市出身。大学在学中から芸能活動を始め、ブログ執筆が話題となり「元祖・ブログの女王」と呼ばれる。現在はタレント活動と子育ての充実した毎日を送る。
撮影/小倉雄一郎