国内

林芳正氏と安倍晋三氏の対立 地元下関ではタクシーや料亭も両陣営に色分け

安倍晋三・元首相という大きな壁が…(時事通信フォト)

安倍晋三・元首相という大きな壁が…(時事通信フォト)

 政界でポスト岸田の最有力候補に急浮上しているのが林芳正・外相だ。本誌・週刊ポスト2022年1月1・7日号の「ポスト岸田に推せる政治家ランキング」では茂木敏充・自民党幹事長に僅差の2位、月刊文藝春秋(2月号)の「次の総理候補ランキング」ではトップと、政治評論家や記者のアンケートで高い評価を受けている。

 政界では早くから「宏池会のプリンス」と見られていたが、政治キャリアに比べて総裁候補としては“遅咲き”だった。同じ下関市を地盤とするライバルの安倍晋三・元首相という大きな壁が立ち塞がっていたからだ。

「林のタクシーには乗れん」

 林家と安倍家は3代にわたって地元で政治的ライバル関係にある。

 戦前は衆院山口選挙区(全県区)で林氏の祖父・佳介氏と安倍氏の祖父・寛氏が争い、戦後は林氏の父・義郎氏が安倍氏の父・晋太郎氏と旧山口一区(中選挙区)で激しくぶつかり、大票田の下関市では林系と安倍系に市を二分する戦いが演じられた。安倍陣営の選挙スタッフを務めた人物が語る。

「下関は料亭や喫茶店、理髪店、タクシーまで両陣営に色分けされていた。駅前のタクシー乗り場で安倍事務所の秘書と待っているとき、タクシーが来たのに乗らない。『林のところのタクシーには乗れん』と言う。

 10年ほど前に地元で安倍晋三さんのパーティーがあった日には、駅近くに理髪店が2店あるのに、片方だけ行列ができていた。パーティーに出る人たちが安倍系の理髪店に並んでいて、空いているほうは林系の店だった。『政治談義をしてうっかり情報が漏れたら困る』というわけです。

 利用する喫茶店や料亭まで別の店で、安倍陣営の会合があるときは女将が気を利かせて林陣営のお客さんは入れないほど徹底していた」

 下関市長選でも林系と安倍系の候補が争い、県議や市議も両派に分かれている。安倍晋太郎氏直系の山口県議だった古賀敬章・元民主党代議士が両家の因縁をこう語る。

「安倍・岸家は総理を輩出した家系で全国では知られているが、もともとは山口では林家のほうが格式は上。林家は大津屋という醤油製造業から始まり、高祖父は貴族院議員、芳正さんの母は県内トップクラスの企業・宇部興産の創業者の孫でもある。それに対して晋三さんの祖父・寛さんは大津郡日置村の出身で、下関に地盤があったわけではない」

関連キーワード

関連記事

トピックス

逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン