国際情報

中国武装警察対テロ専門家が香港駐留軍トップに 香港での対策強化へ

今回の人事がどう影響?

今回の人事がどう影響?

 習近平中央軍事委員会主席(国家主席)が武装警察部隊副参謀長の彭京堂少将を中国人民解放軍香港駐留部隊司令官に任命していたことが明らかになった。武装警察は解放軍に属しており、武装警察部隊の幹部が正規軍である解放軍の地方司令官に就任するのは初めて。

 彭氏は2020年末まで新疆ウイグル自治区武装警察部隊参謀長を務めるなど、テロ事件が多発していた同自治区で経験を積んだテロ対策の専門家である。今回の軍人事は、香港におけるテロ活動を警戒し、抑え込むためだという、習近平指導部の強い決意の表れともいえる。

 彭氏についてはほとんど情報がなく、年齢すら中国の公式メディアで発表されていない。ただ、わずかな公開情報からは中国軍の「軍事改革」によって、7大軍区が廃止され「戦区」が新たに設置された2016年初頭、彭氏が人民解放軍済南軍区旅団長と済南軍区司令部軍事訓練部長を兼務していたことが分かっている。

 このことから、彭氏は武装警察の生え抜きではなく、解放軍幹部から武装警察幹部への転属組であることが分かる。また、彭氏は2018年7月29日に行われた武装警察部隊の中将と少将の階級授与式で、武装警察部隊少将に任命されており、これ以前に武装警察に移ったことは間違いない。

 その後、新疆ウイグル自治区の武警参謀長として赴任し、2021年には北京の武警本部に戻り、武装警察部隊副参謀長として勤務し、最近、香港駐留軍司令官に任命されたとみられる。

 新華社電によると、彭氏は「香港駐留部隊の全将兵と共ともに、中国共産党中央や中央軍事委員会、習主席の指揮に断固従い、『一国二制度』の方針を全面的に貫徹し、法にのっとり防衛の職責を履行し、国家の主権・安全保障・発展上の利益を断固として守り、香港地区の長期的な繁栄・安定を断固として維持していく」と表明したという。

 これについて、米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」は「彭氏の香港駐留軍トップ赴任の最大の目的は、香港で最近増加していると爆弾テロ事件などのテロ活動を未然に防ぐことであるのは間違いない。これによって、中国共産党による香港統治が支障なく機能していることを世界に誇示する狙いがある。また、このような武装警察部隊の幹部を正規軍の解放軍地方部隊の最高幹部に任命することで、習近平指導部が柔軟な人事政策を行えることを示したともいえる」と指摘している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
ジャンボな夢を叶えた西郷真央(時事通信フォト)
【米メジャー大会制覇】女子ゴルフ・西郷真央“イップス”に苦しんだ絶不調期を救った「師匠・ジャンボ尾崎の言葉」
週刊ポスト
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
前回のヒジ手術の時と全く異なる事情とは(時事通信フォト)
大谷翔平、ドジャース先発陣故障者続出で急かされる「二刀流復活」への懸念 投手としてじっくり調整する機会を喪失、打撃への影響を危ぶむ声も
週刊ポスト
単独公務が増えている愛子さま(2025年5月、東京・新宿区。撮影/JMPA)
【雅子さまの背中を追いかけて単独公務が増加中】愛子さまが万博訪問“詳細な日程の公開”は異例 集客につなげたい主催者側の思惑か
女性セブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
NEWSポストセブン