ビジネス

SDGsに忙殺されるテレビ局スタッフ「どこが持続可能なのか」とぼやく

SDGsが目指す未来は正しいのだろうが……(イメージ、Sipa USA/時事通信フォト)

SDGsが目指す未来は正しいのだろうが……(イメージ、Sipa USA/時事通信フォト)

 SDGs(持続可能な開発目標)と聞くと、そこまで関心が高くない人にとっては「環境問題のこと」「ジェンダーに関わること」と感じているかもしれないが、実際には環境だけでなく貧困、飢餓、保健、教育、ジェンダー、水、エネルギーなど多岐にわたるテーマを含んでいる。環境やジェンダーに関わることと勘違いする人が出現するのは、テレビでそのテーマばかりを何度も長時間、放送されている影響も大きいだろう。ところが、重要テーマとして繰り返し採用されているにも関わらず、テレビのニュースや制作現場ではしらけたムードが漂っているという。ライターの宮添優氏が、なぜそのような矛盾が生じているのかをレポートする。

 * * *
 よりよい世界を目指す「持続可能な開発目標」を進めていこうという世界的な取り組み「SDGs」という言葉を、テレビで聞かない日はない。ニュースやワイドショーといった報道・情報番組はもちろん、ゴールデン帯のバラエティ番組などでも「SDGs」が取り上げられている。

 いずれも、世界中の人々が人間らしく生きる未来を切り開くには欠かせないものということで、ある意味「ゴリ押し」であっても、正面切って異論を唱える人はほとんどいないだろう。だが、連日のように言い聞かせられると、反対なわけではないけれど、ウンザリする人たちも出てくるというもの。ネット上ではSDGsは「マスゴミ」による一種の宣伝だ、といった指摘もあるが、ではそのメディア関係者はどう感じているのだろうか。

「ニュース番組、情報番組でも色々取り上げていますがね、はっきり言って数字(視聴率)はついてきません。それでも各社、どこもかなり力を入れてやっていますので、それなりに尺(放送時間)は取らざるをえなくなっている」

 数字がついてこないテーマを取り上げ続けねばならない苦しい実情を訴えるのは、在京民放X局の情報番組ディレクター・齋藤優氏(仮名・40代)。それでも「SDGs」について扱うのは、会社としての決定があるからだと、いまの状況を分析した自論を展開する。

「この流れは国が決めたことですからね。当然、大メディアである我が社の社長や役員も旗振り役に加わっていて、トップダウンでネタが降りてくる。これまでもそういうことはあって、いわゆる『ゼヒモノ』と言われるテーマです。普通は、世の中で話題になっているとか、関心が集まっていることが、そのテーマを取り上げるかどうかにおいては大きな判断材料となるのですが、ゼヒモノとなると、そういう実態がなくても取り上げなければいけない。上司の機嫌取りのため、実績作りのために無理やり企画をねじ込む、なんてことも」(齋藤氏)

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン