そうして周囲に人が集まる元・稀勢の里が今回、襲名した「二所ノ関」は、角界に5つある一門のなかでも最も多くの部屋を抱える二所ノ関一門の統帥となる年寄株だ。
「もともと『二所ノ関』を持っていた元大関・若嶋津が65歳の定年を迎えるにあたって、自身の部屋を継がせる放駒親方(元関脇・玉乃島、44)ではなく、元・稀勢の里との名跡交換を選択した。これは二所ノ関一門の中枢メンバーである尾車親方(元大関・琴風、64)、芝田山親方(元横綱・大乃国、59)、花籠親方(元関脇・大寿山、62)、それに元・若嶋津の4者で会談して、“稀勢の里を一門の顔として育てていこう。将来の理事長にしよう”と合意がなされたからだといわれているのです」(二所ノ関一門関係者)
かつて、出羽海理事長(元横綱・佐田の山)の時代に“クリーン大関”として人気だった元大関・魁傑の放駒親方が重用され、その後、相撲協会が八百長や野球賭博の問題で危機に瀕した際、放駒理事長体制で乗り切ったことがあるが、「同様に現役時代のイメージがよい稀勢の里にも、早くから帝王学を授けて協会を背負って立たせるつもりだ」(同前)とされる。
※週刊ポスト2022年2月4日号