国際情報

北京五輪開催目前も中国ではコロナ拡大で「お祭りムード」なしの実態

五輪開催のため、コロナ対策に力を入れているが…(写真/EPA=時事)

五輪開催のため、コロナ対策に力を入れているが…(写真/EPA=時事)

 これまでの変異株と比べても桁違いの感染力を持つオミクロン株。世界各国は感染拡大と戦いつつ「ウィズコロナ」の道を模索しているが、それに抗い「ゼロコロナ」に固執する国がある。冬季北京五輪を目前に控えた中国だ。ジャーナリストの西谷格氏がレポートする。【前後編の後編】

 * * *
 五輪と言えば政府の威信をかけた国家イベント。現地はさぞやお祭りムードかと思いきや、そうとも言えない。北京在住の日本人男性が言う。

「街中に五輪マスコットのオブジェをよく見かけるようになり、ケンタッキーの紙袋も五輪仕様になっています。スキーやスケートに関する施設も増えました。とはいえ、国民的スターと言えるような出場選手はスキーの谷愛凌ぐらいで、盛り上がりはまあまあという感じです」

 北京市内では開閉会式やスケート競技などが行なわれる予定。だが、「鳥の巣」や「水立方」などの競技施設が次々と建設されて国家ぐるみで熱気に沸いた2008年の夏季五輪とは大きく様相が異なる。新設される競技場はほとんどなく、スキー競技の大半は北京から約200キロ離れた河北省張家口市などで実施される。中国ではもともと、ウィンタースポーツへの関心も薄い。

「北京で感染者が出てしまったので、五輪よりも春節に帰省できるかどうかのほうが、関心が高いですね」(日本人駐在員)

 もはや中国にとって、国民の盛り上がりよりも大切なのはコロナを抑えて無事に大会を終えること。1月17日には駐フランス中国大使が現地メディアの取材に答え、政府のスタンスを示した。

「中国は五輪の準備が完璧にできており、世界各国のアスリートたちの参加を歓迎している。世界に向けて素晴らしい卓越した冬季五輪をお見せしたい」

 懸念されるのは、大会開催中の北京のロックダウン。万が一にもないと言えるのだろうか。大使は巧みに明言を避けた。

「今のところ北京での症例はわずか1例で、感染源も容易に特定できており、まったく心配する必要はない。大会中に北京のコロナ情勢が深刻化することはないと確信している」

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン