芸能

ラストアルバムに制作の吉田拓郎 母への愛情と父への「許せない」思い

行きつけの焼き肉店を訪れた吉田と森下(2014年撮影)

行きつけの焼き肉店を訪れた吉田と森下(2014年撮影)

 集大成と位置付けるラストアルバム。その制作の過程で、吉田拓郎(75才)は人生を回顧しているのかもしれない。ラジオ番組で口にした母への愛と、父とのわだかまり。なぜいま公言する必要があったのだろうか──。

「母親に対しての愛は非常に深いものがありますが、残念ながら、父親に対しては許す感情すらありません」

 1月14日、吉田拓郎は自身のラジオ番組『吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD』で、父への憤りを口にした。吉田の父・吉田正廣氏(享年76)は1895年に鹿児島県で生まれ、高校卒業後に朝鮮総督府(1910年に設置された官庁)の官吏(役人)を務めた人物だ。

「正廣さんは1930年頃に日本が統治していた朝鮮半島で、大規模な農村調査を行って農地制度近代化の基礎を作ったかたです。正廣さんの功績がまとめられた評伝本が出版されるほどの偉大なかたです」(吉田家を知る関係者)

 傍目から見れば“立派な父親”だが、吉田にとって正廣氏はいまなお受け入れ難き存在ということになる。親子の間に、何が起きていたのか。

 正廣氏は1931年に妻の朝子さんと結婚。末っ子の吉田が生まれたのは終戦の翌年で、一家が日本に引き揚げてきたときだった。

「一家は正廣さんの地元・鹿児島に戻ったのですが、正廣さんはなかなか職が見つからなかった。そのために、朝子さんが乳飲み子の拓郎さんを背負って、リヤカーでかぼちゃを売ったりして懸命に家計を支えていました。子供たちに少しでも栄養のあるものをと、たまに売り上げたお金で魚を買って焼けば、“金がないくせに魚なんて食べている”と、近所から後ろ指をさされたこともあったそうです。朝子さんはそのたびに、じっと耐えていました。

 その後、正廣さんは鹿児島県庁に就職して郷土史の編纂の仕事を担当するのですが、生計を立てるのもやっとな月給のうえ、学者肌の正廣さんはそのお金を仕事のために使うことも珍しくなかったようですよ」(前出・吉田家を知る関係者)

 朝子さんは一家を支えるため、栄養士の国家資格を取り広島の盲学校に働き口を見つけた。そして吉田の祖母と姉、吉田の3人を連れて広島に移住。吉田の兄は東京の大学に進学し、正廣氏は鹿児島に残って郷土史家としての仕事を続けることになる。吉田が小学3年生のときだった。以降、正廣氏が76才で亡くなるまで、吉田は父と生活を共にすることはなかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン