スポーツ

元世界王者・佐藤有香さんが語る日本フィギュアスケート界の課題

北京五輪を前に、佐藤有香さんに日本フィギュアスケートの未来について聞いた

北京五輪を前に、佐藤有香さんに日本フィギュアスケートの未来について聞いた(撮影=吉成大輔)

 目前に迫った北京五輪で日本選手の活躍が期待されるフィギュアスケート。4回転などジャンプの「高難度化」が進んだことで、とくに女子では「低年齢化」が進んでいる。しかし歴史を振り返れば、日本人女子では2人目となる世界チャンピオンに輝いたのち、引退後はプロフィギュアスケーターとして、その滑りを進化し続けてきた人がいる。佐藤有香さん。演技者のみならず、解説者、コーチ、振付師、アイスショーのディレクターとして、国内外のフィギュアスケート界を様々な側面からけん引してきた。なぜ有香さんは長く滑り続けられるのか。北京五輪を前に『スケートと歩む人生』(‎KADOKAWA)を上梓した佐藤有香さんに、これまでの歩みとフィギュアスケートの未来について聞いた。

 * * *

滑っているときがいちばん満たされる

──オリンピックに2度出場し、世界チャンピオンに輝いたトップ選手として。25年間のプロスケーターとして。解説者、コーチ、振付師として。さまざまな形で活躍されていますので、ファンによって有香さん(と呼ばせていただきます)のイメージは異なるかもしれません。フィギュアスケーターの活躍の幅は広がっていますが、有香さんほど多岐にわたって、長く活躍されている人は少ないと思います。

佐藤:私がいちばん満たされるのは、自分が滑っているときです。それからアイスショーのディレクションをしているとき。現場であくせく働いているときが、満たされているときなのかなと。ただ、子どもの頃からコーチという仕事を間近に見て育ちましたから(父・佐藤信夫コーチ、母・佐藤久美子コーチ)、コーチという仕事には自然に入っていけたと思います。

──現在はアメリカのデトロイトを拠点にコーチをされている有香さん。フィギュアスケートにのめり込んだきっかけは、競技よりも、アイスショーへの憧れだったんですね。

佐藤:あのキラキラした世界に憧れて、自分もあそこに行きたいという夢を抱きました。そこに行き着く過程として、競技会に出たり、選手として頑張ったという感じです。

──世界チャンピオンに輝いた1994年の演技をよく覚えています。美しいスケーティングに裏打ちされた疾走感あふれる演技に、スタンディングオベーションが止まらなかった。その直前のリレハンメル・オリンピックで力を出し切れず、次は「勝ちに行く」という意識で臨んだ大会だったと本で明かしています。その後の活躍にとって、世界チャンピオンという結果は大きかったですか?

佐藤:あの大会から30年近くたつんですが、今も自分の体のなかに鮮明な記憶が残っています。一瞬ずつ覚えているというんですかね。とくにフリースケーティングは、準備の段階から、公式練習、本番と、非常に鮮明な記憶があります。優勝したことに関しては、確かにそのあとにつながるキーになりました。ですが、自分自身としては、あまりこだわりはないんです。

関連記事

トピックス

永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「日本ではあまりパートナーは目立たない方がいい」高市早苗総理の夫婦の在り方、夫・山本拓氏は“ステルス旦那”発言 「帰ってきたら掃除をして入浴介助」総理が担う介護の壮絶な状況 
女性セブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン