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新聞社で乱立するデジタル部門 実態は記者職の人件費削減との見方も

デジタル部門乱立の背景とは(イメージ)

デジタル部門乱立の背景とは(イメージ)

 Netflixの連続ドラマ『新聞記者』は、米倉涼子演じるエース記者が政府の公文書改竄事件を舞台に権力の闇に迫る物語だが、当の新聞記者たちからは「いまどきあんな記者、いるわけないよ」とため息も聞こえてくる。

 新聞社の編集体制は様変わりした。朝日は昨年4月、編集局に「デジタル機動報道部」というガンダムのような響きの部を新設した。

〈紙の新聞の部数が減っていくなか、デジタルでどう生き残っていくのか。報道機関としての役割を果たしていくために、なにをすればいいのか。デジタル機動報道部は、そんな目的のもと、2021年4月に発足したばかりの新しい部です〉

 同社の社員募集サイトではそう説明している。

 もともと、同社は2018年にDX(デジタル化)を掲げてバーティカルメディア(特定のテーマ、ジャンル、読者などに特化した記事サイト)を立ち上げる事業を進めてきた。それらは編集局とは別の「総合プロデュース室メディア開発チーム」(現メディアデザインセンター)が所管し、記者やデスク、出版部門の編集経験者など多くの社員が異動した。

 さらに編集局の傘下にも、デジタル機動報道部の他に、コンテンツ編成本部(元「デジタル編集部」)もあり、デジタル部門が乱立している。

 こうしたデジタル部門が、いまや新聞社の花形になろうとしている。記者からデジタル部門に異動した社員が語る。

「確かに、紙に見切りをつけてなんとかデジタル戦略で盛り返したいと考えている記者は多い。ただ、現実としては、朝日の社員は記者職が最も給与水準が高い。

 バーティカルメディアを立ち上げる際には、斜陽の紙媒体からデジタルで“もう一花咲かせよう”と異動を希望した社員もいたが、ネットに記事を書く仕事でも編集局から離れると記者職ではなくなるので月給は10万円近く減る。そのうえ最先端の仕事と思っていたのに、気づいたら広告記事ばかり書かされたり、毎日のSNSの更新に忙しかったりと環境ががらりと変わる。実態は記者職の人件費削減でしょう」

※週刊ポスト2022年2月18・25日号

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