濡髪姿

北京では足の痛みにも悩まされた(写真は2021年)

 会見前に羽生はフリー終了から4日ぶりに氷上を滑り、会見では「ぼくはぼくのフィギュアスケートが好きだなと思えた今日の練習だった」とサバサバと語った。だがそんな笑顔あふれる会見に複雑な感情を抱いた人もいる。フィギュアスケート女子でトリノ五輪4位の村主章枝さんもその1人だ。

「明るく、最後まで礼を尽くす様子はさすがだと思う。でも若干の違和感もぬぐえなかった。『悔しい』『次は頑張る』という感情を隠さない負けず嫌いの羽生選手が、今回の会見では満面の笑みを浮かべて『満足している』と話すのを見て、いつもとは違うなと感じました」

 長年、羽生を見てきたフィギュア関係者もこう話す。

「最初は引退会見とも噂されましたが、進退を直接口にすることはありませんでした。それなのに、ソチ五輪と平昌五輪で2大会連続の金メダルを取ったときより、“本気でやり切った感”があふれ出ていた。ああ、もうさまざまなプレッシャーや思いから解放されたのかなと感じたほどです。

 会見が終わった後も各局のテレビ番組に出演して、穏やかに北京五輪を振り返った。かつての鬼気迫る羽生選手からは考えられないような姿勢に、引退会見ではないと言いつつも、どこか“引き際”を考えている様子が見て取れました」

 今回の五輪でファンの目に焼き付いた光景がある。フリーの演技を終えた羽生は、刀を鞘に納めるポーズを取り、「戦いは終わった」ことを表した。そしてリンクを降りる際には氷を拾って顔に当て、こう語りかけた。

「ここまで跳ばせてくれて、ありがとう」

 そこには確かに悔しさというよりは、満足感がにじみ出ていた。会見で今後について聞かれる場面もあり、羽生は苦笑交じりにこう答えた。

「4回転半降りたいなという気持ちは少なからずあって、それとともに自分のプログラムを完成させたい気持ちはあります。ただ先ほども言ったように、自分のアクセルを完成させちゃったんじゃないかという自分もいるので、これから先フィギュアスケートを続けていくとして、どういう演技を目指したいかとか、みなさんに見ていただきたいかとか、いろんなことをいま考えています。まだ次のオリンピックとか、どこでやるのかとか自分で把握できていないし、正直混乱しているんですけど」

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン