4年後もまだまだメダルを狙えるが……
肩の力が抜けて、笑みを浮かべた今回の会見を見た人からは、「そうは言っても金メダルが欲しかったはず」「負け惜しみじゃないか」と揶揄するような声もあがったが、羽生を知る前出のフィギュア関係者は間髪を入れず否定する。
「むしろ金メダルを欲しがる選手でいてほしかった。4回転半にこだわらなければケガも少なく、競技生活も長くなります。それなのに……。羽生選手にとっては五輪3連覇よりも、フィギュアスケーターが一度も跳んだことのない4回転半に挑んで、感動の記憶を残すことが大切だった。彼は歴史に名前を残すことを望んだのです。そう考えると、3月の『世界選手権』(フランス・モンペリエ)で再度4回転半に挑戦するというのが、彼が考える美しい散り方だというような気もします」
今後について、羽生の気持ちは固まっているのか。
「羽生選手なら4年後もメダルを争えます。それほどの実力を持っています。充分に休養してからもう一度リンクに戻ってきてほしいというのがファンや関係者の願いでしょうが、まだ引退か現役続行かの二択を考える時期ではないでしょう。
あれほどの選手なのでスポンサーや連盟への影響力も大きく、そう簡単に進退を口にできるわけではありません。難しい状況のなかで、各方面に気を使いながらも、彼なりに本音を語ろうとした記者会見だったと思います」(前出・フィギュアスケート関係者)
フリー演技で挑んだ4回転アクセルはISU(国際スケート連盟)に正式に認定された。羽生結弦のスケート人生のエピローグになるのか、新たな伝説に向けてのプロローグになるのかは、まだわからない。
※女性セブン2022年3月3日号