「東海」の枠は少なすぎないか
2月20日の自宅玄関先でのインタビュー時に、今回の騒動を経て今後の選考委員会のあり方について寶会長はこう話していた。
「現状は21世紀枠3校を先に決めてから、一般選考出場枠を決めていますよね。その順番を逆にしてもいいんじゃないか。21世紀枠を先に選んでから一般枠を選出するやり方ですと、どうしても地域が偏ってしまう可能性がある。地域バランスを考えるなら、選考手順を変えてもいいかなと思っています。あくまで個人の見解であり、選抜の改革検討委員会の方々と相談しながら、今後、変えるべき所は変えていきたい」
そもそも東海地区の2枠が少なすぎるというのも、長年に渡って議論されてきた。
「昔は中国・四国は野球王国で強かったから、(東海地区の2枠に対し5枠という)比率になっていると思いますが、東海地区と中四国は加盟校の数がほぼ同数。近年の戦績、学校数も変化がありますから、今後検討して、適正な配分にしていくことは考えていかないといけないでしょう」
落選から1ヶ月以上が経過し、聖隷の上村監督が一番知りたがっていたのは「この騒動を日本高野連はどう思っているのか」ということだった。
聖隷の落選が「不当」だとする意見がインターネット上にあふれ、一方で、大垣日大やその関係者らにも誹謗中傷が相次ぐ事態となっている。また、聖隷ナインが走塁妨害を誘発するような常習的な悪質なプレーが高野連の心証を悪くし、落選の原因となったという憶測記事にも聖隷ナインは傷ついている。
そうしたなか、日本高野連が騒動に陥った責任を認めることは、選考過程に何らかの問題があったと認めることにつながる。だからこそ、日本高野連は2月10日の「(議論の)詳細な内容の公開はなじまない」との見解を最終結論とし、寶会長も本件に関するコメントを避け続けていた。
間もなく選抜の組み合わせ抽選会がオンラインで開催される。33校目の扉が開かれるという「聖隷クリストファーの奇跡」が起きる余地はもう残されていない。本当に日本高野連と毎日新聞は何事もなかったようにこのまま3月18日の開幕を迎えるつもりだろうか。全国の球児にとっての夢舞台である今年の選抜は、その代表選考に大きな疑問を残しながら開幕することになる。
今回の選考結果に異議を唱えたある選抜優勝監督の言葉が耳に残る。
「センバツを汚された気分です」
聖隷クリストファーの悲劇のようなことは、今後、二度と起こしてはならない。
順調に選抜の日程が消化されれば、準々決勝と準決勝の間の休養日である3月27日、聖隷は騒動後初の公式戦となる春季東海地区高校野球静岡県西部地区予選に臨む。
(了。【前編】から読む)