私は寶会長宛のメールで、東海大会ベスト4ながら選出された大垣日大と、準優勝なのに選に漏れた聖隷クリストファーの打率や防御率などのデータを見比べても、選考結果にうなずけるような数値的な根拠が見当たらないことを改めて説明し、こう続けた。
《やはり選考過程と、落選の理由の詳細を日本高野連として彼らに伝えてあげることが、彼らが夏に向かう糧とできることではないでしょうか》
筆者が東海地区の選考委員長を務めた鬼嶋一司氏の言葉でもっとも違和感を覚えたのは、「甲子園で勝てるチームであるかどうか」を選考理由に挙げた点だった。それゆえ、メールには続けてこう書いた。
《甲子園(選抜)で勝てるチームを選ぶのが、選考委員会なのでしょうか。甲子園出場に相応しい戦い方を前年の秋にしたチームを選ぶのが選考委員会のあり方ではないかと個人的には思います。聖隷クリストファーは春夏通じた初出場に向け一丸となって準優勝を勝ち取った選抜出場に相応しい学校だと私は思っています。
開幕が迫る2月の下旬に、口に出すことも憚られるあまりに非現実的なことかもしれませんが、私は33校目の救済措置を施していただくことが願いであります》
さらに追加で私は質問した。浜松選出の源馬謙太郎衆議院議員(立憲民主)が衆院予算委員会で末松信介文部科学大臣にこの問題について質問し、大臣自らが「きちんと説明してあげるべき」とし、「議事録の公開も必要」との見解を述べた。そうした動きへの対応についてどう考えているのか──という点だ。
そのメールを送ったのは選抜の運営委員会が開かれた2月21日月曜日の朝だった。会長からの返答は「少しお時間をください」だった。
私は寶会長からの返信を待った。しかし、一向に連絡はなかった。その間、寶会長が聖隷のナインのためになんらかの行動を起こそうと準備しているのではないか。だからこそ返信もないのではないのか。密かにそう期待していた。
ようやく返信があったのは1週間が経過した3月1日の早朝だった。期待していたものとは異なる、これまでと変わらぬ淡々とした回答だった。
「お尋ねのご質問については、先日、京都の自宅前でお話ししたこと以上は回答を差し控えさせていただきたく存じます」