「各事務所から選抜」された7人
審査などの進行が万全なら、やはり鍵を握るのはネタの質。
その点、決勝進出者の芸風は、一人コント、ショートコント、フリップネタ、歌ネタ、リズムネタと多彩であり、「一人芸なら何でもアリ」の『R-1グランプリ』らしい自由度の高さがあるだけに期待できそうです。
それぞれのキャラクターも、昨年悔しさを味わった準優勝と最下位、ラストイヤーに懸ける苦労人、期待の若手、2冠に挑む女芸人などの異なるドラマがありますし、密かに注目されているのは、各事務所から1人ずつ選抜されたような形になっていること。
kento fukayaさん(吉本興業・大阪)、サツマカワRPGさん(ケイダッシュステージ)、金の国 渡部おにぎりさん(ワタナベエンターテインメント)、ZAZYさん(吉本興業・東京)、吉住さん(プロダクション人力舎)、お見送り芸人しんいちさん(グレープカンパニー)、寺田寛明さん(マセキ芸能社)と、各事務所を代表した熱い戦いになりそうなのです。
これまで『R-1グランプリ』は、「他の賞レースと比べてブレイクする芸人が少ない」と揶揄されがちでした。昨年、参加資格を「プロは芸歴10年以内、アマチュアは出場10回以内」に変えたのも、「『R-1グランプリ』発の新たなスターを発掘したい」という狙いによるものだけに、関係者の期待は大きいはずです。
節目となる20回目の今年はどんな結果になるのか。人生を懸けて挑む3分間のネタバトルにぜひ注目してみてください。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。