吉行和子の影響、武田鉄矢の言葉
──この7年間で、役者として変化を感じることはありますか?
武田:“与えられたものだけ”で芝居をすることがなくなった気がします。昔は台本もメイクも衣装も用意されたものをそのまま受け取っていましたが、この頃は、自分が考えたことや気になったことを現場で伝えるようにしています。
それは、映画『海すずめ』(2016年)で共演した吉行和子さんの影響が大きくあります。愛媛県宇和島市でのロケで、吉行さんは商店街で自らヘアピンやスカーフを買って、「もともとの衣装も素敵だけど、宇和島の女性はこういうものを身に着けていたから、こちらのほうが町並みにより溶け込むことができるんじゃないでしょうか」と監督に提案していたんです。それを見て、自分に足りないところはこういう部分じゃないかと感じました。
もちろん当時も「言われたことに100%、いや100%以上で返そう」という方向で努力していたんですが、「言われたこと以外のアプローチをすることだって大事なんだ」と視野が広がりました。
──この7年間で、プライベートで変化したことはありますか?
武田:仕事と繋がる話になりますが、日々の生活全てを大切にするようになりました。尊敬する武田鉄矢さんが『ワカコ酒』にゲスト出演したとき、「あなたは、他の若い女優さんにはない“暮らしの匂い”がする」と言っていただけて、それがすごくうれしかったんです。実家暮らしが長かったので、あまり家事は得意ではなかったんですが、それから料理や洗濯など可能な限り自分でやるようになりました。