前出・一石医師も、高齢者には減薬を嫌がる傾向があると指摘する。
「私の診察でも『これは長年飲んでいた“お守り”で、やめたら具合が悪くなるかもしれないから続けたい』という方は毎週のようにいます。病院から足が遠のき、患者さんと医師、薬剤師とのコミュニケーションが質、量ともに減ってしまうコロナ禍だからこそ、今飲んでいる薬には一層注意が必要です」
多剤併用のリスクを減らすため、患者は何ができるのか。
「『おくすり減らすゾウ教室』の最後には、とにかく今飲んでいる薬の目的を知ることを強調しています。症状が改善して飲む目的がなくなったり、はっきりしなくなったと思われる薬は減らせる可能性があります。必ずかかりつけ医に相談したうえで見直すようにしてください」(嶋村氏)
薬剤師が中心となり、患者たちの“減薬”を目指す取り組みの今後に期待したい。
※週刊ポスト2022年4月1日号