国内

政界の“親プーチン人脈の巨魁”森喜朗氏はプーチン氏を助長させたのか

日本の親プーチン外交は森喜朗・元首相から始まっている(時事通信フォト)

日本の親プーチン外交は森喜朗・元首相から始まっている(時事通信フォト)

 ロシアのプーチン大統領の非人道的なウクライナ侵略は2014年のクリミア併合から始まった。だが、日本には、併合後もプーチン氏の甘言に騙され、たらし込まれた協力者たちがいる。

 その筆頭が安倍晋三・元首相だろう。北方領土返還に意欲的だった安倍氏は、首相在任中、プーチン氏と27回の首脳会談を行なった。領土交渉では国の「四島返還」方針を「二島返還」へと事実上転換、「北方領土は日本固有の領土」という主張さえ封印して譲歩を重ねた。その年5月の日露首脳会談では8項目の経済協力を表明し、カネも出したが、結局、成果はなかった。まんまと騙されたのだ。そうしたクリミア併合を黙認するかのような安倍氏の姿勢が、プーチン氏を“西側の経済制裁など切り崩せる”と慢心させたと批判されても仕方ない。

 日本の親プーチン外交は、もとを辿ると森喜朗・元首相から始まっている。森氏はプーチン氏が大統領に就任する前から親交を結び、「イルクーツク声明」【*】に署名。

【*2001年3月にロシアのイルクーツクで森氏とプーチン氏が会談した後に署名した文書。1993年の東京宣言に基づいて北方四島の帰属問題の解決に向けた交渉を促進することに両首脳が合意したことが明記されている】

 安倍政権では“指南役”として親露路線をバックアップした。ロシアのクリミア併合で日本が経済制裁に加わったことにプーチン氏が怒ったときには、安倍首相の特使としてなだめに行って経済支援の道筋をつけている。プーチン氏を甘やかした政界の親プーチン人脈の巨魁といえる。軍事・政治評論家の篠原常一郎氏が指摘する。

「森氏が自分がお膳立てしたロシア外交を安倍氏に引き継がせ、北極海共同開発などの旗振りをしたことが、平和条約をなおざりにしたまま日本をロシアとの経済協力に前のめりさせることにつながった」

 鈴木貴子・外務副大臣もいる。森氏の側近で長年、ロシアに太いパイプを持ってきた鈴木宗男・参院議員の長女だ。

 ロシアの軍事侵攻に際してウクライナのコルスンスキー駐日大使が林芳正・外相と約1か月面会できなかった問題では、同大使が「(自分と)会いたくなかったのは鈴木さんです」とツイート(後に削除)するなど、“面会要請放置疑惑”が報じられた。鈴木氏は会見で「事実無根」と否定したが、父親譲りの親露派であることは知られている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン