2019年歓迎宴で乾杯する金正恩氏とプーチン氏(写真=朝鮮通信時事/時事)

2019年歓迎宴で乾杯する金正恩氏とプーチン氏(写真=朝鮮通信/時事)

 この先の最悪のシナリオは、プーチン氏が北方領土の管理を金正恩氏に任せることだ。

「もしこのままウクライナ侵攻が長引いて極東の軍事的な手薄状態が続けば、ロシアが北朝鮮に北方領土の防備をさせる可能性は十分考えられる。北方領土にロシアが配備するミサイルシステムと北朝鮮の『火星17』やスカッドミサイルを連携させる可能性もあります」(同前)

 ロシアに残されている1945年8月の対日参戦直前当時の公文書によると、スターリンは北海道の北半分を占領することを命じたとされる。

 万一、露朝連合と軍事的衝突が起きたらどうなるか。ロシアに詳しい筑波学院大学教授の中村逸郎氏が語る。

「北朝鮮のミサイルによる援護射撃を受けたロシア軍は北海道の釧路~稚内の海岸線から上陸すると考えられる。自衛隊は広い海岸線を守ることは難しく、旭川・帯広ラインで敵を迎え撃つことになるでしょう。これは自衛隊関係者も同意見です」

 さらにターゲットとなる可能性が高いのが、在日米軍基地だ。

「ロシアと北朝鮮から近い青森の米軍三沢基地が狙われるでしょう。日本各地にある自衛隊と米軍の共同使用基地などの軍事施設もターゲットになりうる。日本国内の軍事施設が狙われたら米軍も動き、全面戦争になる怖れがあります」(中村氏)

 使用される武器の危険も計り知れない。4月5日には金正恩氏の妹・金与正氏が「韓国から攻撃されれば、核攻撃で対応する」との考えを示したと朝鮮中央通信が伝えた。国際関係アナリストの北野幸伯氏が語る。

「プーチン大統領と金正恩総書記は似た者同士で、ロシアと北朝鮮が事実上の同盟関係にあることは間違いない。ロシアの協力で北朝鮮の核戦力はどんどん強化され、日本の脅威になっています。独裁者は非常に猜疑心が強く、常に隣国の動向を警戒している。日本も隣国の野心を常に警戒しておく必要があります」

 危機管理の要諦は「最悪の事態」を想定すること。日本はウクライナ戦争から読み取れる地殻変動を見誤ってはならない。

※週刊ポスト2022年4月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

モデルで女優のKoki,
《9頭身のラインがクッキリ》Koki,が撮影打ち上げの夜にタイトジーンズで“名残惜しげなハグ”…2027年公開の映画ではラウールと共演
NEWSポストセブン
前回は歓喜の中心にいた3人だが…
《2026年WBCで連覇を目指す侍ジャパン》山本由伸も佐々木朗希も大谷翔平も投げられない? 激闘を制したドジャースの日本人トリオに立ちはだかるいくつもの壁
週刊ポスト
高市早苗首相(時事通信フォト)
高市早苗首相、16年前にフジテレビで披露したX JAPAN『Rusty Nail』の“完全になりきっていた”絶賛パフォーマンスの一方「後悔を感じている」か
女性セブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段どおりの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
「秋らしいブラウンコーデも素敵」皇后雅子さま、ワントーンコーデに取り入れたのは30年以上ご愛用の「フェラガモのバッグ」
NEWSポストセブン
八田容疑者の祖母がNEWSポストセブンの取材に応じた(『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』公式Xより)
《別府・ひき逃げ殺人》大分県警が八田與一容疑者を「海底ゴミ引き揚げ」 で“徹底捜査”か、漁港関係者が話す”手がかり発見の可能性”「過去に骨が見つかったのは1回」
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン
クマによる被害が相次いでいる(getty images/「クマダス」より)
「胃の内容物の多くは人肉だった」「(遺体に)餌として喰われた痕跡が確認」十和利山熊襲撃事件、人間の味を覚えた“複数”のツキノワグマが起こした惨劇《本州最悪の被害》
NEWSポストセブン