国際情報

プーチン氏と金正恩氏の接近がもたらす「日本にとっての最悪シナリオ」

プーチン大統領が北朝鮮に接近すると…(写真/共同通信社)

プーチン大統領が北朝鮮に接近すると…(写真/共同通信社)

 ウクライナの粘り強い反撃で追い詰められているロシアのプーチン大統領。大義なき戦争に突き進む“独裁者”として国際社会で孤立を深めるなか、四面楚歌の彼へ秋波を送るもう一人の“独裁者”がいる。北朝鮮の金正恩総書記だ。

 2021年8月、朝鮮半島解放76年を記念して、金正恩氏は露朝関係について、「(日帝植民地時代に)共通の敵と闘うなか、血で結ばれた友好だ」と述べた。両国が抗日の絆で結ばれていることを強調した形だ。

 そして現在、両国は日本へ敵対を強めている。3月10日、ロシアは北方領土に配備された地対空ミサイルシステム「S300」の訓練を行ない、同月26日にクリル諸島(北方領土と千島列島のロシア側の呼称)で3000人以上が参加する軍事演習を始めた。3月15~16日にはロシア軍の戦車揚陸艦4隻が津軽海峡を横切って日本海に入った。

 北朝鮮も3月24日に平壌近郊から米国全土に届く新型ICBM「火星17」とみられるミサイルを日本海に向けて発射。防衛省は、北海道渡島半島西方の日本の排他的経済水域内に落下したと発表した。軍事ジャーナリストの井上和彦氏が語る。

「ウクライナで戦争を遂行する最中もロシアは日本への警戒を解いていない。このところ北朝鮮がミサイル発射実験を頻発するのは、ロシアが西側に兵力を固めていて極東が手薄になっていることも関係している。標的は日本も含まれていると考えるべきです」

 ウクライナの惨状を横目に、日本周辺でも軍事的な緊張が高まっている。

核攻撃で対応する

 プーチン氏と金正恩氏の接近は、日本にとって悪夢の事態を招くことが想定される。焦点のひとつとなるのが北方領土だ。

 2月28日、駐日ロシア大使館は公式ツイッターで、北方領土は第二次世界大戦後にロシアに「譲渡」されたものであるとして〈これは、日本が行った侵略とナチスドイツとの同盟に対する処罰の一部でもありました〉と主張した。

 ロシアが北方領土の領有を掲げる裏側には、地政学的な理由がある。

「太平洋の玄関口に位置する北方領土は軍事的な価値が高く、ロシアが宿敵のアメリカと本気で戦う場合、原子力潜水艦が北方領土を通って太平洋に出てSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を発射する必要がある。アメリカと渡り合う海軍を持たないロシアにとって北方領土は戦略的に極めて重要です」(井上氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト