イチバンおいしかったもの
旅の楽しみはやっぱりおいしいもの。カニや松茸がおいしいのはもちろんですけど、驚きがあったのは魚のカレイ。福井県の若狭カレイ(笹カレイ)の一夜干しは中の卵が見えるほど身が透き通り、七輪であぶって食べたら、ま~おいしかった! 大分県杵築市の老舗の料亭で食べた城下カレイも感動しました。薄~く切ったのをポン酢でいただいたら、フグに負けないぐらいメッチャクチャおいしくて! あと、青森の八戸前沖サバのしめサバ。脂がのっていて、厚めに切ったものにワサビをのせていただいたら、サバってこんなにうまいのか、と思うくらいでした。
山梨県・身延町の竹林でいただいたタケノコの大名焼きも格別でしたね。土からちょこっと頭が出ているタケノコの、周りの土をグルッと掘ってそこに炭を置き、上から蓋をして蒸し焼きに。火が通ったらタケノコを切って皮をむき、熱々に塩をつけて食べるんですけど、香りが良くて甘い! 普段、スーパーで買って食べるタケノコとは全然違いました。これは家庭やちょっとしたお店でも出せない味じゃないですか。こんなふうに、たくさんおいしいものをいただいたので、尿酸値が上がってしまいました(笑い)。
正直、苦手な食べ物もありましたよ。今は全然平気ですが、昔は甘いものがダメでね。口に入れたらムニュ~ッとする羊羹などは背中に電気が走ります。中継で水羊羹を食べる機会があり口には入れましたが、「甘いものが苦手なんで、好きな方におまかせしましょう」と、すぐに女性アナウンサーに振りました(笑い)。カレーライスに入れたイチゴなんかもちょっと……。「これは好みの分かれるところですね」と表現しました。「まずい」と言うわけにはいきませんから。でも、おいしいと思わなかったら無理に「おいしい」とは言いませんでした。その点は正直に。だから、25年も続けられたのかもしれません。
僕は25年間やってきて、1回だけお休みしたことがありました。6年前にインフルエンザにかかってしまい、ドクターストップで休まざるをえなかったんです。それ以外はちょっと熱があったとしても、休むことはなかったですね。もともと身体は丈夫なんで、あまり気にしてもいませんでした。
中継の中身は気にしていましたよ。毎回、録画してチェックして「中身が薄くならないよう、紹介は3品までにしよう」などと考えていました。それから、衣装。自前だったので毎回、何を着たか手帳にメモして同じものを着ないようにしていました
43歳頃からは、中継日の前日のお酒はセーブするようにしていましたね。酒が翌日まで残るようになっちゃったので。前日の夜は打ち合わせを兼ねた食事会があるんですけど、地元の方がおいしい地の物や地酒で歓待してくれますし、泊まりなんで、ディレクターさんや技術さんもゆったりと飲み食いします。とくに、バブル後は予算削減で羽目をはずせるような泊まりの仕事がめっきり減ってしまったから、『旅サラダ』のロケはみんな楽しみにしていました。僕も当初はついつい飲み食いし過ぎていましたけど、翌日に酒が残るようになってからは量を決めて飲んでいました。