国際情報

ダイヤモンド・プリンセス号船長から届いた肉声 手記出版でジャーナリズム賞も受賞

「船内パンデミック」を起こした大型クルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号(写真/共同通信社)

「船内パンデミック」を起こした大型クルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号(写真/共同通信社)

 乗客3711人のうち712人が感染するという「船内パンデミック」を起こした大型クルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号。2020年2月に横浜港に停泊し、ひと月にわたって船内指揮を執り続けたのがイタリア人のジェンナーロ・アルマ船長だった。

 3月上旬に下船したアルマ船長は、飛行機で帰国。危険を顧みずに指揮を執り続けた姿が称賛され、マッタレッラ大統領から勲章も授与された。

「この勲章は私だけのものではなく、共に危機を乗り切ってくれた船員全員と分かち合いたい」

 2020年7月、『週刊ポスト』取材にそう答えたアルマ船長。彼は今何をしているのか。イタリア在住ジャーナリストの田中美貴氏が語る。

「変わらず船長として世界各地を航海しています。2020年11月には、ダイヤモンド・プリンセス号でのパンデミック体験を綴った手記『La lezione piu importante(最も重要なレッスン~海が私に教えてくれたこと)』をイタリア国内で出版しました。当時の回想録や航海する上で必要なことを綴り、2021年11月に『カルロ・マリンコビッチ賞』というイタリアのジャーナリズム賞を受賞しています」

 同書には、〈海は迫り来る予期せぬものであり、航海とはその予期せぬものと背中合わせだということだ〉〈海は無限の空間であると同時に、他人を尊重し理解するための思いがけない道である〉といった格言が並ぶ。

「その後、2021年には『IAM』という船員育成の専門学校の校長に就任しました」(同前)

 同校の校長就任にあたって、アルマ船長は現地メディアの取材にこう答えている。

「船員たちの現場は、学校で教えられるものとは明らかに異なります。その仕事においては常に船内の人々の安全が第一です。しかし多くの民事および刑事責任、人権問題があり、現場での船員の自立性について真剣に考え直す必要があります」

関連キーワード

関連記事

トピックス

「父としての自覚」が芽生え始めた小室さん
「よろしかったらお名刺を…!」“1億円新居”ローン返済中の小室圭さん、晩餐会で精力的に振る舞った理由【眞子さんに見せるパパの背中】
NEWSポストセブン
関屋警部補を演じた原田大二郎(撮影/中庭愉生)
【放送50年特別インタビュー】原田大二郎が振り返る『Gメン\\\'75』の思い出、今だから話せる「関屋警部補が殉職した理由」 降板後も続いた丹波哲郎との良好な関係
週刊ポスト
多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
麻薬密売容疑でマグダレナ・サドロ被告(30)が逮捕された(「ラブ・アイランド」HPより)
ドバイ拠点・麻薬カルテルの美しすぎるブレイン“バービー”に有罪判決、総額103億円のコカイン密売事件「マトリックス作戦」の攻防《英国史上最大の麻薬事件》
NEWSポストセブン
東京都議選の開票を見守る自民党の木原誠二選対委員長(左)と井上信治・東京都連会長=22日夜、東京・永田町の同党本部(時事通信フォト)
《都議選で歴史的大敗》今や自民党は保守じゃない、参院選に向けてウリは2万円給付だけか 支持層から「時代について行けない集団」「消費期限切れ」「金払って党員になっても意味ない」の声
NEWSポストセブン
アナウンサーのオンカジ疑惑を早めに公表したフジテレビ(イメージ)
《オンカジの”儲からない”実態》逮捕されたフジテレビPは2400万円のマイナス、280億円賭けた「バカラのカリスマ」も数千万円のマイナス 勝てない前提のイカサマか
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一(50)。地元でもショックの声が──
《地元にも波紋》「デビュー前はそこの公園で不良仲間とよくだべってたよ」国分太一の知られざる “ヤンチャなTOKIO前夜” 同級生も落胆「アイツだけは不祥事起こさないと…」 【無期限活動停止を発表】
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《あだ名はジャニーズの風紀委員》無期限活動休止・国分太一の“イジリ系素顔”「しっかりしている分、怒ると“ネチネチ系”で…」 “セクハラに該当”との情報も
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン