──永瀬さんは今年1月の『週刊ポスト』のインタビューで、「藤井さんに良い景色を見せてあげたい」という印象的なコメントをしていました。6月から棋聖戦五番勝負で戦うことになった現在はどう思っていますか?
永瀬:確かにそう言いましたが、言葉だけではなくて実行しなければいけません。ただ現在の自分は、まだそれができるステージにはいない。忘れ物の話でも言いましたが、自分が100%集中状態で、しがみつけるかどうかというレベルなんです。
杉本:藤井竜王のレベルについてこられる人は少なくて、永瀬さんくらいじゃないとラリーが続かない。そういう意味では藤井竜王にとっても永瀬さんは非常に大きな存在です。2人はもちろんライバルですが、同志という言葉がいちばんピッタリくる。公式戦で対戦する勝負の時と、そこを離れた研究会はまた別で、お互いを高め合おうとしています。本当にわかり合えている間柄だと思いますね。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2022年5月20日号