【図表2】出生率が1.0を切り窮地に
出生率が最低レベル0.81となった韓国
一方の韓国は、前述したように、合計特殊出生率がOECDの中でも最低の0.81まで下がってしまい、2020年には、生まれた人のほうが死んだ人より少なくなり、初めて人口減少に転じました(図表2参照)。
韓国は、日本と同じように結婚してから子供を産むという社会通念が根強く残り、結婚せずに出産する未婚の出生率は2.2%です。OECDの平均が41.5%なのに対して、韓国と日本だけが2%台にとどまり、婚姻数の減少と相まって減少傾向が続いています。
また韓国の場合は、とくにエリート社会という傾向が強く、良い学校に行って、良い会社に就職できないと、社会的に恵まれないという社会でもあるため、どうしても結婚や出産をためらう人が増える──それが大きな問題になっています。
もう1点、女性に対する蔑視・偏見が日本より強いということが挙げられます。たとえば韓国は結婚の橋渡しをする「仲人」の存在がまだ大きい(日本ではすでに減少)のですが、その仲人が女性の結婚条件(年齢は25歳までなど)を厳しくつけるケースが多いようです。そういった韓国固有の文化も、少子化対策を難しくしている一因と考えられます。
未婚率の増加が少子化に直結
拙著『経済参謀』でも政府が取り組むべき課題の筆頭として少子化問題を取り上げましたが、日本の場合には、結婚した夫婦は平均して2人の子供をつくっています(図表3参照)。つまり、結婚したら子供は2人ぐらい産みたいと考える夫婦が多く、理想の家族像を聞くと、4人と答える人が多いのです。
ただ、それもだんだんと難しくなってきていて、そもそも結婚しない人が増えている上、晩婚化も進んでいるため、女性が高齢出産になると、1人産んだ後、2人目を産むのがさらに難しくなってしまいます。
【図表3】「未婚率」の増加が少子化に拍車をかける