最大の謎「実朝暗殺」の黒幕
比企能員の変の後、頼家の弟・源実朝(柿澤勇人)が3代将軍の座に就く。その実朝も、史実では参詣した鶴岡八幡宮で、別当をしていた前将軍・頼家の遺児・公暁(寛一郎)に暗殺されてしまう。
果たして黒幕は誰なのか。頼朝の死と並ぶ鎌倉幕府の一大ミステリーとされてきたテーマだ。
「諸説ありますが、現在最も有力なのが『公暁の単独犯行説』、次いで『三浦義村黒幕説』です。“義時が怪しい”という説もありますが、実朝は北条政子の息子ですから、もし義時が手を下したとしたら、その後の姉弟関係がぎくしゃくしてしまう。
今回の大河では一貫して政子・義時姉弟の絆が描かれているので、義時が殺すというのは考えにくい」(河合氏)
一方、時代劇研究家のペリー荻野氏はこんな可能性も指摘する。
「義時が黒幕として描かれれば面白い。実朝暗殺が父の仇討ちとして描かれれば、義時が公暁に同情して応援した形にすることもできますね」
同時代を描いた大河ドラマ『草燃える』(1979年放送)では義村が親友・義時の暗殺も見据えての陰謀とされた。「『草燃える』を超える作品にしなければいけない」と語る三谷氏の判断に注目だ。
※週刊ポスト2022年5月27日号