スポーツ

佐々木朗希を分析 身体への負担が抑えられ、故障リスクは少ないフォーム

バイオメカニクス研究所が、佐々木朗希の投球フォームを解析

信原病院・バイオメカニクス研究所が、佐々木朗希の投球フォームを解析

 4月10日、圧巻の投球で史上最年少の完全試合を達成した佐々木朗希(20)。“令和の怪物”の投球技術は何がどう優れているのか。最新の解析技術を使用する専門家たちが、160キロ超えを連発する“パーフェクト・フォーム”に故障の危険は潜んでいないのか。投手の肘のケガ、いわゆる「野球肘」の予防で知られる信原病院と併設のバイオメカニクス研究所が、佐々木投手の投球フォームを解析し、分析した。

 兵庫県たつの市にある信原病院は、オリックスのチームドクターを務めたことのある信原克哉前院長(2022年3月に逝去)の肝いりで、1989年にバイオメカニクス研究所を設立した。主に野球選手の投球障がい予防を目的とし、小中高のアマチュアから現役の大物プロ野球選手まで、数多くの動作解析を行なっている。

 今回、工学博士の田中洋副所長に佐々木の投球動作解析を依頼し、その結果を受けて乾浩明所長が整形外科医の見地からこんな解説を加えた。

「通常、球が速い投手は身体にかかる負担が大きいため肩肘を痛めやすい。佐々木投手は160キロを超える剛速球を投げるのですから、その反動は未知数です。

 しかし佐々木投手のフォームは、生理学的に良いとされるポイントを押さえています。脚の運びから肩をねじる動作まで体が閉じた状態をキープし、ボールリリース時にはしっかり左脚の膝が伸びている。球速を出しながらも効率よくエネルギーを伝えられているので身体への負担を抑えられているように見受けられます」

 それはつまり、故障のリスクが少ないフォームになっているのだ。

【プロフィール】
佐々木朗希(ささき・ろうき)/2001年11月3日生まれ、岩手県陸前高田市出身。県立大船渡高校を卒業後、2019年のドラフト1位で千葉ロッテマリーンズに入団。4月10日に28年ぶりの完全試合と史上初の13者連続奪三振を達成した。

信原病院・バイオメカニクス研究所(のぶはらびょういん・バイオメカニクスけんきゅうじょ)/整形外科医である乾浩明所長と動作解析専門の田中洋副所長がタッグを組み、臨床的見地と工学的見地の両面から野球の動作解析や指導を行なう。プロ野球選手やドラフト候補選手を年間100人近く診察する。

取材・文/柳川悠二 撮影/藤岡雅樹

※週刊ポスト2022年5月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
松田烈被告
「テレビ通話をつなげて…」性的暴行を“実行役”に指示した松田烈被告(27)、元交際相手への卑劣すぎる一連の犯行内容「下水の点検を装って侵入」【初公判】
NEWSポストセブン
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
会談に臨む自民党の高市早苗総裁(時事通信フォト)
《高市早苗総裁と参政党の接近》自民党が重視すべきは本当に「岩盤保守層」か? 亡くなった“神奈川のドン”の憂い
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
連覇を狙う大の里に黄信号か(時事通信フォト)
《大相撲ロンドン公演で大の里がピンチ?》ロンドン巡業の翌場所に東西横綱や若貴&曙が散々な成績になった“34年前の悪夢”「人気力士の疲労は相当なもの」との指摘も
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
アドヴァ・ラヴィ容疑者(Instagramより)
「性的被害を告発するとの脅しも…」アメリカ美女モデル(27)がマッチングアプリで高齢男性に“ロマンス”装い窃盗、高級住宅街で10件超の被害【LA保安局が異例の投稿】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト・目撃者提供)
《ラブホ通い詰め問題でも続投》キリッとした目元と蠱惑的な口元…卒アル写真で見えた小川晶市長の“平成の女子高生”時代、同級生が明かす「市長のルーツ」も
NEWSポストセブン
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン