芸能

川口春奈の凛とした魅力 賛否両論渦巻く『ちむどんどん』で一服の清涼剤に

代役をハマり役に変えた(時事通信フォト)

代役をハマり役に変えた(時事通信フォト)

 視聴者にとって鮮烈な印象を残すかどうかは、必ずしも役の大きさに比例しない。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が朝ドラを分析した。

 * * *
 これほど賛否両論渦巻くNHK朝ドラって、見たことない。『ちむどんどん』は本土復帰50年を迎えた沖縄を舞台に、兄と三姉妹、母という家族の物語。ヒロインの次女・比嘉暢子(黒島結菜)は高校を卒業し東京へ出て、銀座の高級イタリアンレストランで修行中です。

 十分な準備もせずに当てずっぽうに上京した暢子ですが、トントン拍子に住むところも仕事も見つかる。このヒロインの性格は思い込みが強くてプラス志向、こうだと思えばズンズン我が道を進んでいく。レストランのオーナーに意見までしてしまう。そうした暢子の天真爛漫さ、天衣無縫ぶりが、しかし視聴者には「努力が足りない」「感謝の念がない」「礼儀がなっていない」と突っ込みどころ満載のようです。

 私個人としては、このドラマにはもう一人の正統派ヒロインがいる。そんな印象を抱いています。そのヒロインとは……長女・良子(川口春奈)です。

 たとえ兄の賢秀(竜星涼)がバーガー店内で大暴れをし借金したままドロンしても。金持ちの息子・金吾(渡辺大知)がわーわー大声で良子に結婚を迫ってきても。ドタバタ喜劇の空気に、どこか浸食されずに一人気品を保っている川口さんがいい。一服の清涼剤のようです。

 川口さんはキャラクターの設定や人間関係の全体に目を配り、「貧乏な一家を支える長女としての良子」という人格をしっかりと掴んで演じ切っています。そう、どんなに回りがハチャメチャになっても自分の芝居を続けている。そんな川口さんが自然と中心柱のように見てきてしまうのは、私だけでしょうか。

 ここで良子はどんなリアクションをすべきなのか、するのが自然なのか、演技でピタリと見せてくれるので視聴者としては「ほっと」する。簡単にいえば、ヒロインの暢子に反発ばかり覚えてしまうけれど、良子にはスムーズに感情移入できる。半年間も続く朝ドラのヒロインです、少なくとも視聴者が感情移入できたり共感できることが必須条件ではないでしょうか。

 そしてヒロインには、迷いつつ矛盾を抱きながら苦闘し困難を突破していく、という心理的葛藤=ストラッグルがどうしても必要でしょう。しかし、残念ながらここまでのところ暢子の内面にそうしたストラッグルを感じることができなくて、もどかしい。

 振り返れば、川口さんの名はNHK大河ドラマ『麒麟がくる』(2021年)の帰蝶役で、一層広く知られることになりました。沢尻エリカさんの代役としていきなり織田信長の正室・帰蝶に抜擢された。しかも、大河ドラマは初めてで注目されましたが、受けて立った川口さんは実にすっくとして見事でした。着物姿が堂々と似合っていて、ふるまいは板についていて、「川口さんが演じて良かった」と雨降って地固まる結果に。

関連キーワード

関連記事

トピックス

エプスタインと若い女性(民主党資料より)
《スケスケのセーラー服を着て膝をつき…》「エプスタイン文書」から膨大な“少女の動画”発見、資料が示す“現場での行為内容” 
NEWSポストセブン
2025年に成年式を終えられた悠仁さま
《皇族一人あたりの警備費が表に出ないワケ》悠仁さま「公務全出席」報道で「警備費」に懸念も──側衛との意外な関係 
NEWSポストセブン
女優の天野はな(左)と木竜麻生(右)(事務所HPより)
《朝ドラや大河だけじゃなかった》天野はな、木竜麻生、森田望智、伊藤万理華…NHKによる「見い出し・囲い込んで・育てる」パターンでブレイクするアラサー女優たち
NEWSポストセブン
「住吉会幸平一家特別対策本部」の看板を設置する警視庁暴力団対策課の葛城俊英課長(右)と大場俊彦管理官(時事通信フォト)
《トクリュウと暴力団》四次団体の組長クラス「上納金払えない…」で手を染めることも 「ヤクザは闇バイト禁止」も住吉会から逮捕者多数か
NEWSポストセブン
(朝鮮通信=時事)
《顔が変わった?》北朝鮮・金正恩総書記の愛娘ジュエ氏「あか抜けて、口元には上品さも」85日ぶり登場で“驚きの姿”──成長期かそれとも……バツグンの存在感を発揮 
NEWSポストセブン
秋篠宮ご夫妻と佳子さまが揃って会場を訪れるのは今年で4回目となる、花の展覧会。今年は栃木県の県花のヤシオツツジや栃木県産のカーネション、バラを使った作品をご覧になった (撮影/JMPA)
秋篠宮ご夫妻と佳子さま、花に囲まれ笑顔満開 『関東東海花の展覧会』をご鑑賞、フォトブースでは一家揃って記念撮影も 
女性セブン
1992年、黒海艦隊の取材でクリミアを訪れた(撮影/山本皓一)
《追悼・落合信彦氏》エルサレムでは銃撃に遭遇したことも… それでもなお現場取材を続けた理由「“今”を必死で生きる気持ちを忘れないでいたいから」の言葉
週刊ポスト
2025年11月、ホーコン王太子とメッテ=マリット妃
《彼女は17歳だよ。きっと楽しいと思う》ノルウェー王室激震、エプスタイン元被告と次期王妃の“黒塗り”メール――息子マリウスは“性的暴行”裁判渦中 
NEWSポストセブン
現地では大きな問題に(時事通信フォト)
《トゥクトゥク後部座席での行為にタイ現地の人々が激怒》フランス人観光客の“公開露出”に目撃者は「丸見えだった」 入国ブラックリストに
NEWSポストセブン
父・落合信彦氏の葬儀で喪主を務めた落合陽一氏
「落合信彦の息子という記述を消し続ける時代があった」落合陽一氏が明かした、父について語り始めた理由“人の真価は亡くなった時に分かる”【インタビュー】
NEWSポストセブン
本来であれば、このオフは完成した別荘で過ごせるはずだった大谷翔平(写真/アフロ)
《大谷翔平のハワイ訴訟問題》原告は徹底抗戦、大谷サイドの棄却申し立てに証拠開示を要求 大谷の“ギャラなどの契約内容”“資産運用の内幕”が晒される可能性も浮上 
女性セブン
表舞台から姿を消して約1年が経つ中居正広
《キャップ脱いだ白髪交じりの黒髪に…》「引退」語った中居正広氏、水面下で応じていた滝沢秀明氏からの“特別オファー” 
NEWSポストセブン