ライフ

「素手でトイレ掃除」は美談なのか 誤解と懸念がないまぜの議論

トイレを掃除して美しく保つことで、どんな効果があるのか(イメージ)

トイレを掃除して美しく保つことで、どんな効果があるのか(イメージ)

 インターネットで「ネタ」として定期的に浮上する「素手でトイレ掃除」、この場合の「素手で」というのは、基本的には雑巾やブラシなど道具を使わず手で便器を直接こすって磨く掃除方法のことだ。研修や教育の一環として行われてきたと言われる素手でのトイレ掃除について、俳人で著作家の日野百草氏が、子供のときの体験を交え、意外なその広がりと、素手でトイレ掃除をすることは何か効果があるのかについて考えた。

 * * *
 日本には「素手でトイレ掃除」をする人たちがいる。

 こう書くと「そんな人がいるのか」と言われることがある。「信じられない」「そんなの見たことない」という人もいる。組織や地域によって差があるのかもしれない。海外の人なら「How terrifying!」(恐ろしい!)だろうか。しかし、実際にネットでサクッと検索しても、全国の学校、企業によっては「素手でトイレ掃除」をする人たちが美談として語られている。地方紙や専門誌を中心に、同じく美談として報じられているサイトや記事もズラッと並ぶ。

掃除によって人間を磨く

「素手でトイレ掃除」の例をいくつか挙げると、愛知県東部にある県立高校は自校のホームページ上で2015年、「1年生と2年生の有志生徒、職員、保護者あわせて200名以上が参加して学校内にある全てのトイレを素手・素足でピカピカに磨き上げました」と紹介している。終了後は参加者全員で童謡「ふるさと」を歌ったという。これを主導したのは掃除に学ぶとする外部の会だが、別の愛知県の県立高校でも2017年「便教会」と称して教員研修の一貫として「素手でトイレ掃除」をしている。この会を立ち上げたのは同校の元教師で、全国各地で同じような「素手でトイレ掃除」に学ぶという会がある。基本的には「素手」だが、雑巾を使う、薄いシートのようなものを使うなどのケースもある。

 ダウンタウンの浜田雅功(敬称略、以下同)が、寮生活をしていた高校時代の話としてトイレを素手で掃除していたという逸話はかつての鉄板ネタだった。2019年のテレビ放送で俳優の高橋一生もまた、トイレ掃除は素手でしろと祖母から言われて以来、自主的に実践していると語り驚かれたが、彼らの経験は珍しくもなんともない。サッカーJリーグ、浦和レッズの槙野智章選手も「素手でトイレ掃除」の実践者として知られる。彼らとは直接関係ないが、同様の趣旨の運動は先に紹介した愛知県はもちろん、埼玉県や神奈川県、千葉県といった関東地方にもあり、実数は不明ながら各地で実践されている。全国的にも知られている都心の有名お嬢様学校でも、筆者の知り合い曰く、素手でトイレ掃除をしていた(現在は不明)とのことで、学校が荒れているとか、偏差値の上下でもなく学校によっては実践されているようだ。学校側ではなくPTAやOBを通して持ち込まれることもある。

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン