桐沢は高校時代、4冠を達成し、将来を嘱望されたアマチュアボクサーだったのに網膜剥離で継続を断念。最愛の妻(波瑠サン・30才)は結婚後すぐに乳がんを患い死去。その妻とよく通っていた焼鳥屋を継ぎ、順調に回り始めたと思ったら新型コロナの影響で閉店……。就職氷河期で苦労し、会社でもなかなかうまくいかないという袴田サンの役には当然KO勝ちです。
その後もピザのデリバリーをしながら食いつなぎ、引退した恩師に母校のボクシング部のコーチを押し付けられ、渋々就任するも、なかなか本腰を入れられないという、ファンにとっては「ちょ、待てよ」と言いたくなるような経歴と内容です。
パッと見は、学園ドラマとかスポ根ドラマなので、大人が見る作品ではないと敬遠されていたかたも少なくないと思うのですが、それで見ないのはもったいなさすぎ。こんなに人生を投げている木村拓哉、こんなに疲れ切っている木村拓哉が描かれることは初めてだからです。
実は『アイムホーム』からタッグを組んできたテレビ朝日のドラマ班は、これまで2シリーズをオンエアしてきた『BG~身辺警護人~』を含め、カッコイイだけではない木村拓哉を描き続けてきました。
『アイムホーム』で初めてテレ朝の連続ドラマに主演することになった木村サンは当初、「おしゃれなカフェとかがたくさんある」六本木ヒルズに位置する同局での撮影の休憩時間をとても楽しみにされていて(笑い)、「行っちゃおっかな」などと、おどけていらしたのです。が、“お楽しみ”はそれだけではありませんでした。
『アイムホーム』の妻子を顧みなかった父親像、『BG~』ではバツイチのシングルファーザーで、なんと元妻役が“ロンバケ”の山口智子サン(57才)!
でも、それ以外の共演者は「初めまして」のかたが多くキャスティングされ、主人公のオンだけではなく、オフにも光を当て、「これまで見たことのない木村拓哉」を描いてきたのです。これは木村サンにとって、とても新鮮な経験だったと思われます。一味ちがうPR方法に定評がある宣伝部との相性も抜群です。そして、これまでの“現場”でも大評判だった木村サンの“座長力”には、さらに磨きがかかっているようです。
今回、本格共演が初となるヒロインでボクシング部顧問役の満島ひかりサン(36才)と、30年ぶりの共演の校長役、内田有紀サン(46才)は木村サンのことを「癒し系」と口を揃え、満島サンは「モフモフモフ~」と表現なさいました。