ライフ

茅野市尖石縄文考古館 壇蜜が抱きしめた「縄文のビーナス」と「仮面の女神」

壇蜜と美術史家・明治学院大学教授の山下裕二氏(左)が縄文人の圧倒的な芸術性に触れる

壇蜜と美術史家・明治学院大学教授の山下裕二氏(左)が縄文人の圧倒的な芸術性に触れる

 日本美術応援団団長で美術史家・明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜が、美術館や博物館の常設展を巡る単行本『私を美術館に連れてって』が刊行された。それに合わせて、2人が長野県茅野市にある茅野市尖石縄文考古館を訪れた。

 同館は、国宝でもある縄文時代の土偶2体をはじめ、長野県茅野市内で発掘された土器などが常設展示されている施設。悠久の時を超え、縄文人の圧倒的な芸術性に2人は触れた──。

壇蜜:わぁ、見事な土偶!

山下:国宝の「縄文のビーナス」と「仮面の女神」です。全国に5体ある国宝土偶の2体が茅野市内の遺跡から発掘され、ここ茅野市尖石縄文館に常設展示されているのです。八ヶ岳の麓では高度な縄文文化が栄え、周囲には200軒以上の竪穴式住居が見つかった特別史跡の尖石石器時代遺跡が広がっています。

壇蜜:展望ギャラリーからは史跡公園に復元された住居群が見え、縄文の空気を肌で感じられます。あれっ、「縄文のビーナス」は右足が少し宙に浮いていませんか!?

山下:高さにしてわずか10円玉1枚分。足元のこの微妙な“ずれ”が彼女の躍動感なんです。

壇蜜:今にも踊り出しそう。

山下:同時代の土偶の中で、デザイン性が突出しています。その約1000年後に作られた「仮面の女神」は胴体に左右非対称な文様が刻まれ、位置によって穴の大きさが違うなど細部まで作り込まれた、土偶造形の最高峰ともいえる完成度を誇ります。

壇蜜:縄文人の芸術性に脱帽します。この土器も作り込まれて、かっこいいなぁ。

山下:約5000年前の縄文中期に作られた「環状把手付深鉢形土器」です。日常で煮炊きに使われました。

壇蜜:煮炊きをする土器がこんなにも凝っているなんて。機能性はさておき、ぶっきらぼうだけど“これがいい”という縄文の人々の気合いを感じます。「蛇体把手付深鉢形土器」も現代だったら、丸いくぼみは洗うのが大変そうで日常使いの器に避けそうですが、縄文人はあの点々が純粋にかっこいいと装飾したのでしょうね。その美的な直観や価値観は大事に守っていきたいです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン