インタビューは約5年かけて行われた

インタビューは約5年かけて行われた

 本に綴られた本音は、ある意味でこれまで“タブー視”されてきたことだけに、多くの人の感情を揺さぶったのだ。

 ドーナト氏は次の2つの質問をもとにインタビュー対象者を選定したという。

 1つ目は「過去に戻れるなら、母親になるか」で、2つ目は「母親であることにメリットがあると思うか」といった内容だ。どちらの質問にも「いいえ」と答えた人を対象とした。

 さらに2つ目の質問に「はい」と答えた場合でも、質問を重ね「デメリットがメリットを上回る」と答えた女性は対象にした。こうして集まったのが、23人の女性たちだった。

 本の中で、小さな子供2人を持つ女性はこう語る。

《今日でもいいんです……小さな妖精がきて『あの子たちに姿を消してもらって、何も起こらなかったことにしてあげようか?』とたずねられたら、私はためらうことなく、『はい』といいます》

 なかには、2人の子供が家庭を持ち、すでに孫のいる女性の告白もある。

《普通のことはしています──。毎週家に来るので夕食を作りますし、誕生日の贈り物を届けますし、時々様子を見に行きます(中略)おばあちゃんがやることであれば、いくらかはこなしています。でも、大きな必要性があるとは感じていません》

 若い母親だけでなく、子育てを“卒業”したような年代の女性でも、ネガティブな感情を抱え続けている人もいるという。

出産で人生をリセットされた

 何もこの本に登場する23人のイスラエルの女性たちが特異な母親ではないようだ。
 
「思わず一気読みしました」と話すのは、幼い頃から子供が苦手だったが、友人や実母から「子供が嫌いでも、自分の子は別だよ」と言われ、40才目前で出産したAさん(神奈川県・59才)だ。

「実家でふと『娘がいなかったら、仕事も続けられて、温泉旅館にも頻繁に行けたのに』とつぶやいてしまったことがありました。すると、普段は穏やかな母が『そんなこと言うもんじゃない! もしあの子が聞いたらどう思うか!』と激怒したんです。私が出産に前向きではなかったのを知っている母でさえ、モヤモヤとした気持ちを受け止めてくれないのか、と落ち込みました」

 実は日本でも「母親になった後悔」に関する調査は行われている。

「博報堂こそだて家族研究所」が2019年に413人の母親を対象に実施した意識実態調査によれば、「『子供を産まなければよかった』と思ったことがある」と答えた母親は40.4%に達した。

 さらに、このうち「数えきれないほど何回もある」の回答は7%だった。

 宮城県に住むBさん(37才)は、出産直後に感じたショックをこう語る。

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