さらに道路事情も気になる。河川が多く、水運が発達した大阪は老朽化した橋は多い。南海トラフ巨大地震の発生で落橋が生じると交通網が麻痺し、長期にわたって地域が分断される可能性がある。加えて、ゲリラ豪雨の浸水被害も甚大になる。河田氏が語る。
「幹線道路の国道2号沿いは元々地震による被災率が高い上にゲリラ豪雨が発生すれば、浸水で通行できなくなる。淀川を渡って大阪市外につながる橋はすべて通行止めになる可能性が高い。
JR大阪環状線の下をくぐるアンダーパスの道路も水没し、市中心部の交通網が麻痺する恐れがあります。市内の地域で倒壊や水害を逃れるのは、大阪城が建つ高台である上町台地だけでしょう」
阪神高速道路などの高架道路であっても、地震とゲリラ豪雨による影響は免れない。
「神戸方面に向かうには阪神高速道路が有効ですが、眼下の大阪市内は水に浸かっています。特に大阪湾沿いは高速道路を降りられなくなる可能性が高いでしょう」(河田氏)
複合災害の被害から逃れるにはどうすべきか。防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏が語る。
「何よりも大切なのは、命を守るためにいち早く避難することです。そのためにも普段から地震や豪雨のハザードマップを確認し、いざという場合の避難場所を確認しておきましょう」
※週刊ポスト2022年6月24日号