織田代表宅に突っ込んだ軽乗用車

織田代表宅に突っ込んだ軽乗用車

 絆會の織田代表とて、山口組に復帰する可能性はある。しかしマスコミを集めて記者会見を開催、親分の井上組長の秘密を暴露した織田代表はひどく警戒されている。復帰出来ても針のむしろで、ならばこのまま膠着状態を維持したいはずだ。

 ただし、まるっきりのガセ情報だったとも思えない。六代目山口組が池田組への攻撃中止命令を出したのは事実だからだ。ならばその裏でなんらかの動きがあったのだろう。これまた密室でのやりとりを、状況から推理する他ないが、池田組長が引退を考える状況はひとつしかない。古巣の神戸山口組が解散した時だ。

 池田組は神戸山口組から、円満に脱退している。井上組長への気持ちが冷めていても、水面下で神戸側の直参とは話をしているはずだ。もし本当に神戸山口組の井上組長が引退する話があったとする。そうなれば、さすがに池田組長も身の振り方を再考するのではないか。

 神戸側の解散から抗争終結に繋げたいのは、六代目山口組に他ならない。池田組長の引退を報じた媒体は、六代目山口組の情報操作にまんまと乗せられたと考えていい。

 実話系週刊誌は六代目側の思惑に乗らなかった。彼らは山口組から情報を取るため、それぞれパイプを持っているので、当然、一連の情報を掴んでいた。彼らは誌面を充実させるため、時と場合によって暴力団側と共同歩調を取る。具体的には彼らが望む記事を掲載する。私は暴力団専門誌の編集長として、長く蜜月の渦中にいた。その様子が手に取るように見える。

 しかし、実話誌は暴力団側のいいなりにはならない。六代目山口組であっても、誌面を好き勝手に改変できない。ところが令和になって暴力団は新しい武器を手に入れた。それが暴力団情報を配信するYouTuberであり、Twitterを初めとするSNSだ。

 最近では新しく知り合った暴力団員から「記事は読まないけど、配信は好きでよく観ます」と言われる。活字世代としては面食らうばかりだ。噂の拡散力は、もはや実話誌より上かもしれない。

 自身に都合のいい噂を広めるため、または相手を誘導するため、暴力団はひどくデフォルメされた情報を配信者に提供する。彼らはまるで記者クラブメディアが警察情報を垂れ流すかのごとく、再生回数を稼ぐため暴力団からの情報を生のまま配信する。

 暴力団の活動が法律で大きく規制されるようになった現在、山口組のようなマンモス暴力団はデメリットだけを増大させた。下部団体の抗争でトップが逮捕される危険を常にはらみ、かつてのように多勢に無勢で中小団体を蹂躙できない。昭和の体質のままでは結局ジリ貧で、内部抗争を続ければさらに求心力を失っていく。

 抗争を総括する日はそう遠くない。

(了。前編から読む

【プロフィール】
鈴木智彦(すずき・ともひこ)/1966年、北海道生まれ。フリーライター。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『サカナとヤクザ』『ヤクザときどきピアノ』など。

※週刊ポスト2022年7月1日号

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