コロナ禍によるサブスク普及がきっかけに
韓国エンタメライターの田名部知子氏は、韓国ドラマが女性ファンだけではなく男性ファンからも支持されるようになった理由をこう分析する。
「コロナ禍をきっかけに私たちの生活には動画配信のサブスクが欠かせないものになりました。これまで韓国ドラマに興味のなかった男性層も韓国コンテンツに触れる機会が増え、『愛の不時着』をはじめ、『梨泰院クラス』『ヴィンチェンツォ』のような、男の野心や仲間と目的を成し遂げる”お仕事系”作品を通して、”韓国ドラマは女性のもの”というこれまでの偏見が崩れたのでしょう」
俳優の演技力、脚本力、演出力の高さも人気コンテンツとして成長した理由の一つだという。
「『愛の不時着』のように、北朝鮮にパラグライダーで不時着したら恋に発展……といったかたちで韓国ラブストーリーの設定は近年ますます壮大化しています。恋した相手は北朝鮮人のほかにも、宇宙人、人魚、ロボット、クローン、神様など、ユニークを超えてアホらしいほどの設定なのに、見ているうちに『え、待って。これ、ありえるかも!!』と、視聴者をその世界へグイグイ引きこんでいくだけの説得力と作品力がある。
要は脚本と演出がよくて、俳優の演技力が高い。一歩間違えると完全にチャチなものになってしまうところを、世界観を丁寧にきちんと作り出している脚本のうまさと、ディテールにこだわり、サブキャストたちにも生き生きと生命力を与える演出が素晴らしい。高いレベルの世界観が完成されています」(田名部氏)
7月7日からは『梨泰院クラス』を日本バージョンにリメイクした『六本木クラス』(テレビ朝日系)が始まるが……田名部氏はこう懸念する。
「苦笑作で終わるか、『梨泰院クラス』とはまた別ものの良作、大作として後世に残るか。日本ドラマの今後がかかっているといえるでしょう。女性視聴者だけではなく、韓国コンテンツの摂取により目の肥えた男性視聴者たちをも納得させることができるのか、注目ですね」