ライフ

コロナで死亡した人の多くは「敗血症」 早期認識と治療で重症化を防ぐ

敗血症の治療が遅れると、臓器障害の危険性も

敗血症の治療が遅れると、臓器障害の危険性も

 敗血症は細菌やウイルスなどの感染がきっかけで免疫が暴走し、最悪の場合は死に至る病気だ。新型コロナの重症者で、呼吸障害から多臓器不全となり、死亡する症例の多くは敗血症である。国内の医療機関入院患者のデータを解析した大規模疫学調査によると敗血症の死亡率は低下傾向だが、その一方、高齢者の死亡者数は増加中だ。なにより敗血症は早期の治療開始が命を救う。

 敗血症は血液に病原菌が入り、何らかの病気を発症するわけではない。細菌やウイルス、真菌などへの感染がきっかけで、免疫の異常反応が引き起こす臓器機能障害だ。

 治療が遅れると敗血症性ショックや多臓器不全となり、死に至る。2017年の調査では世界で4890万人が敗血症を発症し、死者は1100万人。これは世界の全死亡の約20%と推計され、WHOが「敗血症は世界が取り組むべき課題」と設定した。

 千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学の中田孝明教授に聞く。

「敗血症を起こす感染源は呼吸器が多く、他に尿路や腹部など様々な感染源からも起こります。新型コロナでは多くの方が亡くなりましたが、重症者は免疫が異常反応し、臓器障害を起こしていました。これも敗血症に含まれます。敗血症から運よく生還しても臓器障害の長期化や日常生活動作の低下による通院やリハビリが必要となるため、患者本人と家族の負担が大きいのも問題になっています」

 そこで日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本感染症学会が連携して日本敗血症連盟を設立。中田教授を中心としたグループが国内における敗血症の実態調査を行ない、昨年9月に結果を発表した。

 その結果によれば2010~2017年までに入院した成人総数5000万人のデータ分析では約200万人が敗血症を発症し、そのうち約36万人が死亡した。敗血症患者の死亡率は2010年では約25%だが、2017年には約18%に減少。しかし、入院患者全体に占める敗血症患者数は2010年に約11万人だったのが、2017年には約36万人と増加。これは高齢化が進み、入院患者の実数が増加しているためで、今後も死亡者数の増加が予想される。

関連キーワード

関連記事

トピックス

アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
センバツでは“マダックス”も達成しているPL学園時代の桑田真澄(時事通信フォト)
《PL学園・桑田真澄》甲子園通算20勝の裏に隠れた偉業 特筆すべき球数の少なさ、“マダックス”達成の82球での完封劇も
週刊ポスト
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン