敗血症は早期の認識が欠かせない。症状は当初、軽い風邪のような発熱や震え、弱い脈拍などだが、次第に呼吸困難やチアノーゼ、またはまだら模様の皮膚、極端な体の痛みや低尿量などが起こる。発症したら人工呼吸器など人工補助療法や集中治療室を持つ医療機関への搬送が必須だ。
「治療はまず、免疫暴走のきっかけとなった病原体を攻撃する抗菌剤や抗ウイルス剤の投与を行ないます。早ければ早いほど高い治療効果が得られます。特に子供や高齢者、基礎疾患を持った方はリスクが高いので、最初の警告症状を見逃さないことが重要です」(中田教授)
また感染力が強く、人喰いバクテリアといわれる溶連菌感染などでは若い世代でも敗血症になる可能性が高い。
新型コロナ感染症予防対策と同様に手指衛生やワクチン接種などをこまめに行なうことが、結局は敗血症の予防にもつながっていく。
取材・構成/岩城レイ子 イラスト/いかわやすとし
※週刊ポスト2022年7月8・15日号