工藤氏はソフトバンクで2015~2021年の7シーズン指揮を執り、3度のリーグ優勝、5度の日本一を達成。投手の育成能力に定評があり、千賀滉大、石川柊太らを一本立ちさせて球界を代表する投手に育て上げた。常勝軍団を構築し、2017年から4年連続日本一に輝いた。特に原巨人相手に史上初となる「2年連続4連勝」と圧倒的な強さを見せた2019、2020年の日本シリーズは記憶に新しい。
工藤氏をよく知る球界関係者はこう語る。
「工藤さんといえども監督時代は順風満帆というわけではなかった。コーチや選手と距離を感じたこともあり、それを反省し、謙虚な姿勢でコミュニケーションを積極的に取るようになった。『ソフトバンクはあの戦力なら誰でも勝てる』という人もいますが、それは違います。松田宣浩、柳田悠岐、中村晃ら年齢的に脂がのり切った選手が多かったのは事実ですが、救援陣の疲労を考慮して起用法には細心の注意を払うなど、チームマネジメントは徹底していた。巨人の今のウィークポイントが投手陣であることは明らかです。工藤さんなら巨人をどう立て直すのか、見てみたいというファンは少なくないでしょう」
これまで巨人の監督には、巨人一筋の生え抜き選手しか就任していない。それは「不文律」とも「暗黙の了解」とも言われている。工藤氏は現役時代に2000~2006年まで巨人に在籍していたが、西武、ダイエー、横浜(現DeNA)を渡り歩いているため「巨人一筋の生え抜き選手」には当てはまらない。ただ、チーム再建を考えると「生え抜き至上主義は時代遅れ」と指摘する声も聞かれる。原監督は2024年シーズンまで任期があるが果たして──。