「少なくとも犯人が前に出てきた瞬間に、後方を警戒していた人間がまず飛び出すべきです。そして、1発目が発射された時にSPの人間は、安倍さんに覆い被さらないといけない。そうしたことはSPになった時から叩き込まれているはずなのに。なぜ、そうした行動がとれなかったのか。犯人が2発目を撃つまでに時間もあったのに……」
この日、安倍元首相を警護する人員は現場に20~30人いたとされるが、奈良県警は現場配置を含む警備体制の詳細を明らかにしていない。元SPは日本ならではの要人警護の“限界”についても指摘する。
「日本だと銃は手に入りにくいから、主に想定されるのは刃物を持った人間からの要人警護となります。なので、そもそも今回のような拳銃による犯行はあまり想定されていないのです」
この元SPが任務に当たっていた時代と現在の警護体制に違いはあれど、一国の元リーダーが演説中に背後から撃たれて死亡するという映像に、ネット上でも発砲時の行動に対する疑問の声も少なからずあがっている。
実業家のひろゆき氏は今回の事件現場の状況を受けて、犯行に使われた銃が手製のものだったことから「現場で起きた“銃声”は市販される銃の発砲音とは違う音です。素人が『最初の銃声を聞いたら動ける』とか言いますが、銃声と断定してるのはただの結果論だ」「犯人が複数で、共犯者が刃物を持っていたら安倍元首相を押し倒すことは刃物によるさらなる攻撃を招く恐れがある」と持論を展開している。
映像を見ただけで現場の警察官らの動きがすべて把握できるわけではなく、映像のみで非難することは難しいのかもしれないが、少なくとも言えるのは、演説場所の選定ミスや犯人側の不自然な動きを察知することができなかったという点で、根本的な警備体制に不備があったということだろう。
今後、同じ悲劇が繰り返されないためにも早急な対策と改善が求められる。