マスクでコロナ予防する海老蔵
「陽性者が発生した際には、陽性者の休演はもちろん、濃厚接触者は公的機関の判定に従うことを原則とし、同時に公的機関の判定を待たずに、その都度、専門家の見解やガイドラインに則った弊社の基準で速やかに判定して、濃厚接触者と判定された場合は、当該者の検査の追加実施などの適切な対応を行い、安全を確認した上で公演を行ってきました」
つまり、濃厚接触者と判定されれば検査をする、ということだ。なぜ一斉のPCR検査をしないのかについての説明はなかったが、それならばまず問題になるのは、「濃厚接触者をどのように判定しているのか」だろう。それが徹底していれば感染拡大は防げるかもしれない。
歌舞伎座内の“クラスター状態”が表面化したかに見えたのは、7月17日のことだった。
「今回の七月大歌舞伎は、第一部・第二部・第三部の三部制でした。その第三部の『風の谷のナウシカ』に出演していた尾上丑之助さん(8才)が『体調不良』のために休演したんです。丑之助さんは、尾上菊之助さんの長男。メインキャストの休演は、今回はこれが初めてでした。個人情報保護のため、その『体調不良』が新型コロナ感染かどうかは公にされていませんが、同居し、楽屋も一緒だった菊之助さんや、同じ舞台に上がっていた長女・寺嶋知世ちゃん(7)は少なくとも“濃厚接触者”だと考えるのが自然でしょう。それならば菊之助さんが主役級を担う第三部は公演中止だろうと、多くの関係者が見守っていました」(前出・歌舞伎座関係者)
ところが翌18日、丑之助さんに加えて寺嶋知世ちゃんも体調不良のため休演したにもかかわらず菊之助は変わらず舞台に上がり、公演は続行された。それは、少なくない劇場関係者を驚かせることになった。
結局、冒頭の通り、7月19日には「複数の感染者の発生」を理由に、すべての公演が中止された。「舞台に立ち続けていた菊之助さんの体調もかんばしくないようで、もし陽性が発覚したら、周囲の役者や裏方、お客さまへの影響も大きく、大変な事態になると思われた」(前出・歌舞伎座関係者)という。つまり、丑之助の体調不良以降も、舞台を続けたことが賢明な判断だったのかは、松竹の運営が問われるところだろう。