今回の不妊治療の保険適用は、所得制限の撤廃や治療費への公的支援の拡充など様々な点に及ぶ。だが菅氏は、不妊に悩む人の“金銭的負担軽減”にとどまらない、ある思いを抱き続けているという。
「この制度改革の本質には、『不妊治療という行為が、社会全体にもっと理解されること』というものがあると考えます。
不妊治療の当事者だった女性は、『不妊治療に行く際に、気兼ねなく堂々と行ける…そんな社会になると良い』とおっしゃっていました。年齢制限や保険診療との併用をどこまで認めるかなど、今後も細かな制度の改革はまだまだ必要になってくるでしょう。ただ、その根底にある『不妊治療という行為が、社会全体にもっと理解されるように』という意識は常に持ち続けています。
私は保険適用の制度改革を進めていく一方で、関係省庁を通じて民間企業に対して、「不妊治療」への理解を持ってもらい、治療と仕事が両立できるよう、地道に提言も行なっています。この問題は不妊に悩む当事者だけではなく、その周囲の人の理解があってこそ『社会が認める』ということになると思うのです」