不動産投資話の見取り図

不動産投資話の登場人物と関係性

「短期で決まる話だから翌月にはお支払いしますという話だったんです。どれくらいの利益が出るかはわからないけど、心の中では『50%ぐらいの利益が出るんちゃうか?』と思ってしまうわけです。僕は少額しか出せませんが、そんないい話なら仲間にも儲けて欲しいと思ってしまったんです」

 結果を待ち侘びていた木本に、B氏から「1か月遅れるらしいです」と連絡が入った。

「マジか!と思いましたけど、その時点では疑ってなかったんです。馬鹿すぎますけど、それなら仕方ないなと。ところが、次の月も『上手いこと行ってない』と連絡があり、さらに1か月遅れ、3か月目に『すいません、まだ進んでません』となった時、さすがにこれはあかんやろと。B氏に、話が進んでないならとりあえずお金を戻してくれと言ったんです。

 彼は『この話が飛んだら二度と任せてもらえなくなる』と言って渋っていましたが、何度かに分けて、トータルで約1億6000万円は返ってきました。残りは来月になると言われましたが、待てど暮らせど一銭も返って来ません。次の月になると『ダメです。まだ無理です』と。このやり取りがずっと続いてしまって……。

 皆からしたら『いい加減にしろ』じゃないですか。嘘やろっていうふうになってきますよね。その時、皆もB氏に会ってるんです。彼が『説明する』というから皆に集まってもらったんです」

 当然、金を出した全員が、直接、B氏を責めるようになった。事態が急変したのは昨年7月のことだ。

「生きた心地がせず、悶々とした日々を過ごしていたら、B氏から『木本さん、やっと今月出ることになりました』と連絡があったんです。良かった!と心の底から安堵しましたよ。B氏が言うには『会長が謝りたいから来てもらってと言ってくれています』と。利益も渡すと言われて、皆で一緒に行こうかという話になったんですけど、とりあえず僕だけ行くことになって。そしたら、約束の前日くらいに、B氏の弁護士から内容証明郵便が送られてきたんです」

 文面を見て、木本はその場に崩れ落ちそうになった。

「簡単に言うと、払う気はあるけど、払う金がありませんと……。 内容証明が来たのは僕だけです。みんなが彼を詰めたら、B氏は『俺は木本さんとやってるから、木本さんが対処せなあかん』と言ってたらしいです。
 僕とB氏は公正証書を作成していますが、紹介した人たちから手数料や仲介料は一切もらっていません。B氏に言われるがまま、枠を埋めることだけを考えていました」

 この一件で、木本が出した金額は1000万円程度。木本と友人らがB氏にお金を出したのは一度きりだったが、FXの投資話と合わせた木本自身の損失額は2000万円に満たない。しかし、気づけば木本には億単位の負債がのしかかっていた。

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