国内

中国産の原薬の問題点 規制ゆるく、降圧剤から発がん性物質が検出されたことも

中国産の薬からは予期せむ物質が検出されたことも(写真/Getty Images)

中国産の薬からは予期せぬ物質が検出されたことも(写真/Getty Images)

 コロナ禍で発熱外来に患者が殺到し、マンパワーの“供給不足”が深刻となったが、それ以外に問題となったのが「薬」の不足だ。有効成分である「原薬」の不足により、全国的に薬の供給量は減少傾向にある。ナビタスクリニック川崎の内科医・谷本哲也さんが言う

「国内で生産が追いつかなくなった結果、原薬を中国やインドから調達する事例は右肩上がりで増えています。実際、中国の原薬生産における世界シェアは4割。低価格で大量に作ることができるため、日本や欧米メーカーの薬でも、中国産の原薬が多く使われています。しかし、その実態は必ずしも安全とは言えません」(谷本さん)

 厚労省の調査によって国内で販売されているジェネリック薬の約半分が海外産であることが明らかになっているが、海外の医薬品事情に詳しいジャーナリストの郡司和夫さんは、中国産の原薬の危険性をこう語る。

「2008年、アメリカで中国産の原薬で作られた『へパリン製剤』を投与された患者が、重篤なアレルギー反応を起こして何十人も死亡するという事件が起きました。この薬は米バクスター社が製造していましたが、中国から調達していた原薬のヘパリンに問題があったとされています」

 ヘパリン製剤は血液の凝固を阻害する薬で、透析の治療などに使われる。原料となるヘパリンは、豚の小腸から抽出されるという。

「米食品医薬品局(FDA)が調査した結果、製剤にはヘパリンではなく、ヘパリンに類似した化学物質が含まれていることがわかりました。その頃、中国では豚コレラなどの感染症で小腸自体が品薄になっていました。そこで、中国の原薬メーカーは食品添加物としても使われるコンドロイチン硫酸からヘパリンに似た物質を作り、“かさ増し”していたと考えられています」(郡司さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン