スポーツ

大阪桐蔭の「扇の要」松尾汐恩を開花させたショートからキャッチャーへの転向秘話

14日聖望学園戦9回表、内角の球をライトスタンドに運ぶ大阪桐蔭3年・松尾汐恩(時事通信フォト)

8月14日聖望学園戦9回表、内角の球をライトスタンドに運んだ大阪桐蔭3年・松尾汐恩(時事通信フォト)

 大会が進む夏の甲子園の優勝候補筆頭はやはり春のセンバツも制した大阪桐蔭だろう。圧倒的な力で勝ち上がる同校の「扇の要」となるのが3年生の松尾汐恩だ。中学時代までは強豪ボーイズで投手兼ショートとして鳴らしたが、高校入学後にキャッチャーにコンバートされた。本人も驚いたという捕手転向について、新刊『甲子園と令和の怪物』が話題のノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
 史上3度目となる春夏連覇へ向け、目下のところ、その道を阻まんとするライバルすら見当たらない王者・大阪桐蔭にあって、文字通り攻守の要を務めるのが松尾汐恩だ。19対0と爆勝した2回戦の聖望学園(埼玉)戦では、捕手として4人の投手陣をリードして相手打線に二塁すら踏ませず、3番打者としては5打数4安打5打点の大当たり。2本塁打を放ち、昨春から4度目の甲子園で通算本塁打を5本にまで伸ばして同校の先輩である平田良介(中日)、森友哉(埼玉西武)、藤原恭大(千葉ロッテ)に並んだ。3回戦以降に新記録樹立も間違いなし、と断言したくなるほどの存在感と輝きを放っている。

 高校3年生の夏というのは、負けた瞬間に高校野球が終了するという恐怖心との戦いでもある。7月の大阪大会準決勝・上宮戦の勝利後、松尾は言い切った。

「怖さはないですね。負けたら終わりなんですけど、そう考えてしまったら、自分たちのプレーはできない。良い意味で、(この緊張感を)楽しむということを意識して、神経質になりすぎないようにしています」

 中学硬式野球の京田辺ボーイズ時代は投手兼ショートの選手で、3年夏にはボーイズ日本代表にも選出された。大阪桐蔭に入寮した時、まさか自分が下級生の段階から大きな試合に出場できるとは考えてもみなかった。

「周りのレベルを見て、ほんまにやれんのかなと思いましたから。ぜんぜん、ここまでの高校野球生活は想定していませんでした。たまたま良い場面で打つことができて、使っていただいた」

 そして、「野球が楽しいです」「ありがたいです」「ここに来て良かったです」と続けた。

 転機は1年秋の捕手転向だろう。松尾は京田辺ボーイズの時代に、正捕手のケガによって一度だけ、マスクをかぶったことがあった。その試合を偶然、視察していた西谷浩一監督が、期待のショートとして大阪桐蔭に入学した松尾に捕手転向を勧めたのだ。

「最初、西谷先生から『ブルペンに入ってみろ』と言われた時は、『嘘やろ!?』って。で、いきなり関戸さん(康介、現・日本体育大学)のボールを受けさせられた(笑)」

関連キーワード

関連記事

トピックス

WEST.中間淳太(37)に熱愛が発覚、お相手は“バスり”ダンスお姉さんだ
《独特すぎるゴルフスイング写真》“愛すべきNo.1運動音痴”WEST.中間淳太のスイングに“ジャンボリお姉さん”林祐衣が思わず笑顔でスパルタ指導
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
「どうぞ!あなた嘘つきですね」法廷に響いた和久井被告(45)の“ブチギレ罵声”…「同じ目にあわせたい」メッタ刺しにされた25歳被害女性の“元夫”の言葉に示した「まさかの反応」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
遠野なぎこと愛猫の愁くん(インスタグラムより)
《寝室はリビングの奥に…》遠野なぎこが明かしていた「ソファでしか寝られない」「愛猫のためにカーテンを開ける生活」…関係者が明かした救急隊突入時の“愁くんの様子”
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)が犯行の理由としている”メッセージの内容”とはどんなものだったのか──
「『包丁持ってこい、ぶっ殺してやる!』と…」山下市郎容疑者が見せたガールズバー店員・伊藤凛さんへの”激しい憤り“と、“バー出禁事件”「キレて暴れて女の子に暴言」【浜松市2人刺殺】
NEWSポストセブン
目を合わせてラブラブな様子を見せる2人
《おへそが見える私服でデート》元ジャンボリお姉さん・林祐衣がWEST.中間淳太とのデートで見せた「腹筋バキバキスタイル」と、明かしていた「あたたかな家庭への憧れ」
NEWSポストセブン
先場所は東小結で6勝9敗と負け越した高安(時事通信フォト)
先場所6勝9敗の高安は「異例の小結残留」、優勝争いに絡んだ安青錦は「前頭筆頭どまり」…7月場所の“謎すぎる番付”を読み解く
週刊ポスト
アパートで”要注意人物”扱いだった山下市郎容疑者(41)。男が起こした”暴力沙汰”とは──
《オラオラB系服にビッシリ入れ墨 》「『オマエが避けろよ!』と首根っこを…」“トラブルメーカー”だった山下市郎容疑者が起こした“暴力トラブル”【浜松市ガールズバー店員刺殺事件】
NEWSポストセブン
WEST.中間淳太(37)に熱愛が発覚、お相手は“バスり”ダンスお姉さんだ
《熱愛ツーショット》WEST.中間淳太(37)に“激バズダンスお姉さん”が向けた“恋するさわやか笑顔”「ほぼ同棲状態でもファンを気遣い時間差デート」
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン