芸能

【映画『アキラとあきら』対談】池井戸潤氏×三木孝浩氏 エンタメを創る「発明」について

原作者・池井戸潤氏(左)と監督・三木孝浩氏が対談

『アキラとあきら』の原作者・池井戸潤氏(左)と監督・三木孝浩氏が対談

 それぞれの“主戦場”で確固たる立ち位置を築いた作家と映画監督。そんな二人が初めてタッグを組んだのが映画『アキラとあきら』(全国東宝系)だ。8月26日の公開を前に、原作者・池井戸潤氏と監督・三木孝浩氏に「物語」に懸ける思いを存分に語り合ってもらった。

 * * *

“純米大吟醸”のような青春映画

三木:映画『アキラとあきら』のお話を最初にいただいたときは、「え、僕が池井戸作品を撮ってもいいんですか?」という気持ちでした。マーベルシリーズに参戦するようなつもりで、是非やらせていただきたいとお受けしました。

池井戸:素晴らしい作品に仕上げていただき、感謝しています。

三木:僕が普段手がけている映画は10代、20代の恋愛ものが多いので、それとはテイストの異なる作品をオファーされたということが、まずうれしかったですね。そして原作を読ませていただいて、池井戸さんのこれまでの作品同様にエンタテインメント性を持ちながら、この物語からは青春の要素を強く感じました。竹内涼真くん演じる、幼い頃に家業の倒産を経験した山崎瑛と、大企業の御曹司として生まれ育った横浜流星くん演じる階堂彬、境遇の異なる二人のブロマンス(=男性同士の熱い友情を描いた物語)であり、お互いを高め合っている彼らの関係性がすごくいい。それを表現することが、僕に期待されたことなのだろうなと。

池井戸:試写を観ましたが、ビジネスシーンを描いた作品としても高次元でまとまっていましたし、20代の若者の青春ものとしての完成度も非常に高い。主演のお二人のファンの方々が観てうれしいものである一方、ビジネス経験のある50代以上の観客にも納得のいく内容だと思います。原作の持つさまざまな要素を45パーセントくらいまで精製した、酒でいうなら“純米大吟醸”のような、清々しい仕上がりでした。

三木:大吟醸!

池井戸:何より、僕の映像化作品の中で、原作がもっとも素のままに表現されていて……。これまでお約束になっていた派手なアクションや演出がなく、ようやく小説と等身大の映像を世に出していただけるんだということが本当に感慨深いです。

三木:ハハハ。僕としては、これまで映像化された池井戸作品の存在があったからこそ、それを逆に利用して、いい意味でイメージを裏切れたらなという思いもありました。企業が舞台の作品は初めてで、ビジネスの現場を描く難しさはありましたが、たとえばスポーツものの映画などで、皆がルールを知らなくてもハラハラドキドキさせたり、絶体絶命のところから逆転するカタルシスみたいな見せ方は、意外とできたりする。法廷ものなんかも、そうだったりしますよね。そういうところからヒントを得て作っていきました。

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン