SNSとのつきあい方にしろ、発達障害に関する認識にしろ、いまの大人たちは、子供たちに正しい情報を教えられていないことが多い。
「未就学児童や小学校低学年なら、保護者が本気で取り組めば、スマホやタブレットを使わないようにできるはずです。子供の友達の保護者とも協力し、3週間ほどデジタルデトックスをさせてください。
もし、それで具合がよくなるなら、その子はデジタル機器からの刺激に弱い可能性があります。個人差はありますが、ジョブズがしたように、ある程度成長して脳が丈夫になってから、刺激の弱いものから徐々に試してみましょう」(磯村さん)
学校から支給されている端末は、多くの場合、担任に申し出ることで、家に持ち帰らないようにできる。子供の脳を正しく成長させるには、紙の本を読ませることだ。ノルウェーの研究では、紙の本で物語を読むと、電子書籍で同じものを読むよりも理解力・読解力が共に向上することがわかっている。
またある研究では、MRIの中で『ハリー・ポッター』シリーズを紙の本で読むと、登場人物の活動に同調して、脳の中のワクワク・ドキドキを司る扁桃体や、非現実の出来事を理解する下前頭前野、注意力を司る下頭頂小葉などの部分が活性化した。
そして、何よりも大切なのが親子の信頼関係だ。画像のチェックリストに1つでも「×」がついたら、行動を振り返ってみてほしい。
「すべての項目に〇がつく家庭は少ないかもしれません。×がついたところから1つずつ改善を試みてください。もっともよくないのは、子供が親に相談できない状態にあること。“うちの親には何を言ってもムダ”と思った子は、困ったときやつらいときに親ではなく、SNS上の見知らぬ人などを頼ってしまう。そうならないよう、子供を頭ごなしに否定しないようにしてください」(片桐さん)
東北大学の調査では、スマホやタブレットの使用をやめたり、使用時間を短くした子は、下がっていた成績が明確に上がったという。まだ幼いからこそ、体力も、脳も、精神的な負担も、家族と本人の心がけ次第で元に戻り、いま以上に向上させることは難しくないのだ。この異変はいわば、子供たちからのSOS。不安や不満を取り除き、未来への足掛かりをつくることこそ、私たち大人のもっとも重要な務めだ。
※女性セブン2022年9月8日号